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建設技能者の労務賃金改善を推進 日建連

 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、労務賃金の改善をさらに推進する。厚生労働省が行った2016年度賃金構造基本統計調査で、建設業男性生産労働者(建設技能者)の平均賃金が前年度より約2.8%低下したことを深刻に受け止めての対応。協力会社に対し、請負代金の決定の際に建設技能者の処遇改善に必要な法定福利費など経費の確保に最大限務めるよう求める。既に理事会で決議している「適正価格での受注」「適正工期の確保」「適正な契約条件などの確保」―などダンピングを許さない取り組みを徹底する。

 公共工事では一次下請けへの見積り依頼時に公共工事設計労務単価を交付する一方、一次下請けに対し、建設技能労働者に社会保険料の個人負担分など労務単価の引き上げの趣旨にかなう適切な賃金が支払われるよう促す。日建連会員企業と直接の契約関係のない二次以下の下請け会社にも一次下請けなどを介して公共工事設計労務単価を交付し、労務単価の引き上げの趣旨にかなう適切な賃金が支払われるよう要請する。

 若い世代の目標となる優良技能者の地位を高め、その技術と経験に見合った処遇が確保されるよう優良技能者認定制度の定着、推進も図る。国土交通省が進めている建設キャリアアップシステムと連動させ、技能のランクに応じて処遇するなど、この制度の一層の充実についても検討する。

 日建連は、建設技能者の高齢化と今後に強い危機感を持っている。

 特に建設技能者の賃金の改善については公共工事設計労務単価の改定を賃金の改善につなげようと13年7月には「労務賃金改善等推進要綱」を定めたのに続き、14年4月には「建設技能労働者の人材確保・育成に関する提言」を取りまとめ、建設技能労働者の年間労務賃金水準が全産業労働者平均レベルとなるよう、20代で約450万円、40代で約600万円を目指した施策の実施を会員各社に要請している。

 日建連会員企業の中には直近の決算で過去最高益を達成する企業も多く、元請けを含む建設業の男性労働者平均賃金が全産業男性労働者平均賃金に追いつきつつある好況感の中にあって、「建設技能者の賃金状況を看過するようなことがあれば、日建連と会員企業の建設技能者の処遇改善への取り組みやその本気度が疑われかねない」(山内会長)と会員企業を鼓舞。改めて適正な労務賃金水準の確保に向けて真剣に取り組むよう促していく。