国土交通省が地方自治体によるICT活用工事の現場を支援する「i-Construction普及加速事業」で、自治体独自に基準を定めようとする動きが出てきた。同事業の支援を受けている静岡県では、中小建設業の受注件数が多い河床掘削に注目。同省の支援を受けつつ、2017年度中に起工測量の3次元化に向けたガイドラインをまとめる方針だ。直轄工事向けに制定される国の基準は、小規模な現場への適用が難しいケースもあり、国交省は「自治体主導で基準をつくるモデルケースになれば」と期待している。
普及加速事業では、i-Constructionが目指す生産性向上の効果を中小建設業にも浸透させるため、ICT施工のモデル工事を発注する自治体を支援している。自治体発注工事を受注する中小建設業にICT施工のノウハウを指導することに加え、必要な機材の貸与などの支援措置を講じている。
静岡県は、昨年11月に同事業における初の支援対象に選ばれた。同県は17年度に入り、ICT施工の対象工種を舗装工と浚渫工に拡大するなど、先進的にICT施工に取り組む自治体の一つだ。
県では、同事業による国交省の支援を受けつつ、中小建設業の受注が多い河床掘削にICT施工を導入したい考え。水中の3次元測量には、直轄港湾の浚渫工に採用されたナローマルチビームなどを活用する手法もあるが、中小建設業がより採用しやすい安価な計測方法などを検討している。県は17年度中にガイドラインをまとめ、18年度から河床掘削の起工測量を3次元化したい考え。
国交省は、17年度の普及加速事業で、静岡県の他▽秋田県▽茨城県▽新潟市▽岐阜県▽兵庫県▽鳥取県▽徳島県▽沖縄県―を支援することを決めている。18年度の概算要求にも5000万円を盛り込んでおり、同事業による支援措置により、この他の自治体にもICT施工の裾野を広げたい考えだ。