国土交通省は、2017年都道府県地価調査(7月1日時点)を発表した。前年同月以降の全国平均の地価変動率は、全用途ではマイナス0.3%となったが、前年同月のマイナス0.6%から下落幅が縮小した。用途別では、住宅地がマイナス0.8%から0.6%に下落幅が縮小。前年に9年ぶりに微増と上昇に転じていた商業地はプラス0.5%と上昇基調が強まった。三大都市圏の地価が堅調に上昇していることに加え、札幌市・仙台市・広島市・福岡市の地方4市の伸び率が三大都市圏を上回る結果が出ている。
国交省は、住宅地の地価について、雇用情勢の改善が続く中、住宅取得支援政策などの下支え効果もあり、底堅く推移していると分析。商業地は、外国人観光客の増加による店舗・ホテル需要の高まり、主要都市でのオフィス空室率の低下、都市中心部での再開発の進展などを挙げ、不動産需要が旺盛だとみている。
都道府県別の地価変動率を見ると、前年に比べて住宅地の地価が上昇したのは8都府県で、埼玉県、大阪府、福岡県の3府県が上昇に転じた。商業地の地価も17都府県で上昇しており、兵庫県、熊本県が上昇に転じた。
全国の商業地で最も上昇率が高かった地点は、「京都市伏見区深草稲荷御前町89番」で前年同月の地価から29.6%上昇。外国人観光客の増加により、店舗の出店意欲が特に強くなっている。住宅地は、ニセコ観光圏で外国人による別荘地の需要が旺盛な、北海道の「倶知安町字樺山65番132外」が28.6%増だった。
工業地の上昇率1位は、茨城県の「五霞町大字江川字沖ノ内2585番1外」の17.9%増で、圏央道開通によるアクセス性向上が主な要因。工業地では、上昇率の全国上位10地点のうち5地点が圏央道沿道に集中している。