国土交通省は、空洞化が進む地方の古い再開発ビルの再生を支援する。地方都市で再開発事業によって建設されたビルでは、施設の老朽化や消費者ニーズの変化で、入居テナントの撤退が進み、空きスペースが生じる事例が増えている。国交省・地方自治体が費用を負担し、施設配置の再編を指導する専門家を派遣する他、施設計画の変更に伴う改修費用を支援する。
2016年3月までに再開発事業を完了した地区は全国に880地区あり、このうち事業完了後30年以上が経過した地区は約200地区ある。特にバブル期に完成した地方都市の再開発ビルは、施設規模が大きいため、空洞化が顕著なものが目立つという。
地方都市の中心部にある再開発ビルの空洞化は、地域の衰退につながる恐れがあり、危機感を持った自治体が単独で支援措置を講じている事例がある。再開発事業で整備された兵庫県川西市のショッピングモール「アステ川西」も、テナントの撤退などにより空洞化が進んでいたが、市が派遣した商業コンサルタントが施設計画の再編や改修を指導し、食品スーパーや専門店街へと再生された。
国交省はこうした事例も参考に、空洞化が進む再開発ビルを支援する新たな予算措置を18年度の概算要求に盛り込んでいる。社会資本整備総合交付金の交付対象に専門家の派遣や改修などの費用を追加。都道府県・市町村が支援措置を設ければ、最大で対象費用の半額を補助する見通しだ。