経年劣化への対応や耐震性能の確保等の観点から、役場庁舎の整備について検討を行っていた日之影町は、建て替えにより整備を進める方向性を示した。平成29年度9月補正予算案に、新庁舎建設に係る基本計画策定委託料を計上しており、予算化されれば今年度内に基本計画をまとめる見通し。計画が順調に進めば、来年度より新庁舎の設計や工事に順次着手し、32年度内の完成を目指す考えでいる。
昭和31年に竣工し、建設から60年以上が経過する現在の役場庁舎(日之影町大字岩井川3398番地1)の建築規模は、RC造(一部S造・CB造)3階建延べ1615m2。経年による施設本体や設備の老朽化が進み、耐震性能にも課題を抱えていることから、町は役場庁舎の整備の方向性について検討を行っていた。
そのような状況の中、昨年4月に発生した熊本地震では、災害対応の拠点となる庁舎が倒壊や破損等で使えなくなる事態が熊本県内で発生。被災地の状況を踏まえ、町が昨年度に実施した既存庁舎の耐震診断では、コンクリートの強度が著しく低下しており、巨大地震で崩壊する危険性が高いとの結果が判明した。
耐震診断ではこのほか、耐震補強工事では対応できない状態にあることも判明。災害発生時の活動拠点となる施設の確保や、将来的な行政効率の向上等を見据え、庁舎を建て替えで整備する方針を固めた。現在は、副町長や関係各課の幹部職員で組織する庁舎内建設検討委員会で、新庁舎建設に係る基本構想の策定作業を進めている。
一方で、町の29年度9月補正予算案には、新庁舎建設に係る基本計画策定業務委託料(600万円)や町民の代表らで設置する新庁舎建設委員会の関連経費が盛り込まれた。きょう15日に議会で採決する。予算化されれば、策定中の基本構想の内容や新庁舎建設委員会の意見を反映させた基本計画を今年度内にまとめる。基本計画策定業務の発注方法や発注時期は現時点で未定。
計画が順調に進んだ場合、来年度早期に新庁舎の基本設計等に着手する見通し。以降、実施設計や建設工事を順次進めていく。国の補助事業の活用を視野に、32年度内の新庁舎完成を目指す。