厚生労働省は9月14日、労働政策審議会安全衛生分科会(分科会長・土橋律東京大学大学院工学系研究科教授)を開き、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱案(働き方改革関連法案要綱)」を諮問した。労働基準法で規定している時間外労働の上限規制の改正は、工作物の建設事業については施行日から5年間適用しない。災害復旧および復興事業については1カ月の労働時間延長を認め、休日の労働時間制限も適用しない。その一方で、法案要綱は、施行後5年をめどに今回の改正内容などを見直し、工作物の建設事業についても“特例”の廃止について引き続き検討するとした。同省は、秋の臨時国会に同法案を提出し、会期内の成立を目指す方針だ。
働き方改革関連法案は、▽労働基準法▽じん肺法▽雇用対策法▽労働安全衛生法(安衛法)▽労働者派遣法▽労働時間等設定改善特別措置法▽パートタイム労働法▽労働契約法―の八つの法律を一括して改正する。
このうち安衛法の一部改正は、新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務に従事する者に限り、厚労省令で定める労働時間を超える労働者に対し、事業者が厚労省令の規定に基づいた、医師による面接指導を行わなければならないように改める。
産業医、産業保健機能も強化する。事業者は、産業医の勧告を受けたときは、勧告内容と講じた措置の内容を記録し、これを保存しなければならいことなどを厚労省令に規定する。
労働政策審議会(樋口美雄会長)は2017年6月、時間外労働の上限規制などについて塩崎恭久厚労相(当時)に建議。この中で、建設事業については、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用することが適当である、との認識を示していた。
ただし、復旧・復興事業については、単月で100時間未満、2カ月ないし6カ月の平均で80時間以内の条件は適用しないものの、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることが適当、としていた。
また、5年後の施行に向けて、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するなど、必要な環境整備を進めるとともに、労働時間の段階的な短縮に向けた取り組みを強力に推進するよう求める一方、時間外労働の上限は原則として月45時間、かつ1年間に360時間であることを踏まえ、これに近づける努力が重要であると指摘していた。