パシフィックコンサルタンツ(パシコン、高木茂知代表取締役社長)は、「再生可能エネルギー発電事業の事業性評価システム」を利用した事業性評価サービスの提供を開始した。日本動産鑑定(東京都、久保田清理事長)、荒川電工(高知市、荒川浩一代表取締役社長)、日立システムズ(東京都、北野昌宏代表取締役社長)と協働して発電事業者の継続的な発電事業と金融機関の健全な融資回収をサポートする。同事業性評価システムの特許も申請している。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度は、2017年4月の改正「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」によって、これまでの「発電設備」を認定するのではなく、「事業計画」を認定するものへと制度設計が変更されている。
一方、金融機関も再生可能エネルギー事業の融資案件については、これまでの担保保証ではなく、「事業性評価に基づいた融資を実行する」ことで金融仲介の質を高め、それを客観的に自己評価することが求められるようになっている。
パシコンらは金融機関から融資を受けている太陽光発電事業者が今後、金融機関から事業性評価の証明書類の提示を求められる可能性が生まれたことに着目。「事業性評価書」の発行サービスのスキームを構築した。
パシコンらは独自の指標による「再生可能エネルギー発電事業の事業性評価システム」を用いて▽動産鑑定▽発電リスク評価▽災害リスク評価―の三つの着眼から事業性を診断・分析し、事業性を評価する。
具体的には、建設が完了し、すでに発電を行っている再生可能エネルギー発電所を設計図書だけでなく現地確認を行った上で、長期的な視点から安全性の確保や発電の継続に留意した設計・施工となっているか▽発電設備を適切に保守点検・維持管理できているか―などについて調査し、調査時点における処分価格、将来価格、売却予想価値価格を算定する。
計画段階の再生可能エネルギー発電事業についても、発電事業者への事業化の判断材料や金融機関への融資実行可否の判断材料を提供するため、建設予定地における事業の可能性調査を実施する。
災害リスク評価はパシコンが担い、発電リスク評価は荒川電工と日立システムズが行う。日本動産鑑定は金融機関からの事業評価を受託し、動産鑑定を含む「事業性評価書」を太陽光発電事業者に提出する。