■ 藻場分布調査や増殖場造成、既設礁強化など実施
日向灘沿岸地域における水産資源の増大を図り、生産性の高い漁場を構築することを目的に、宮崎県は「日向灘沿岸地区海域水産環境整備マスタープラン」をまとめた。計画期間は平成29年度から36年度までの8年間。期間中はマスタープランに基づき、藻場の分布調査や増殖場の造成、既設礁の機能強化等の施策を推進する。
マスタープランでは、産卵~稚魚~成魚といった主な生活段階が日向灘沿岸の対象海域に含まれ、県独自の資源評価で資源水準が中位~低位と評価されたヒラメ(指標種)の生息環境の課題に対応した整備を行うことで、生活史が類似するアオリイカ等(対象種)への副次的な効果を期待し、海域全体の生産力の底上げを図ることを目標に掲げた。
具体的には、ヒラメの成長段階ごとの餌料環境等を改善するため、稚魚期の生息域となる沿岸域(水深20m以浅の砂質域)に餌料の培養効果のある増殖場(藻場造成等)を整備すると共に、幼魚、未成魚、成魚期の生息域(水深20m~80mの砂質・礫・岩礁域)に餌料の蝟集効果等がある魚礁を整備することで、生息適地を創造する。
事業の実施にあたり、航空写真や測点調査等による藻場の分布状況調査を行い、藻場面積の試算と藻場の経年変化を把握。サイドスキャンによる底質調査を行い、藻場縁辺部の拡大を目的とした基盤整備の参考とする藻場・干潟ビジョンを今年度にまとめる。
ビジョンで得られた知見等を踏まえ、ヒラメ等の稚魚の餌料環境、アオリイカ及びカサゴの産卵場やイセエビ幼生の着底基質として重要な増殖場(計画数量=1.5㌶)を、31~33年度に造成する。また、ヒラメやイサキ、チダイ、マダイの成魚に関する生息環境(餌料環境)の改善を目的としたマウンド礁の整備も検討する。
一方で、ヒラメ、イサキ、チダイ、マダイの成魚の生息環境を改善するため、既設礁の現況調査に基づき、機能強化を目的とした環境整備(計画数量=1万8750空m3)にも取り組む。実施予定年度は30~32年度とする。
漁場整備の効果及び長期目標の達成度を把握するため、藻場分布のモニタリング及びデーターロガ-解析によるヒラメ等の生息状況等調査を行い、併せて資源管理指針に基づき資源状況を評価・検証し、資源管理体制と連携しながら計画の見直しを行う。