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九州北部豪雨災害 地盤工学会が調査概要を発表

 「九州北部豪雨」による被災状況を調査している地盤工学会(会長・村上章京都大学大学院教授)の調査団は、これまでの調査の概要を「速報」として公表した。深刻な被害の発生は、線上降水帯による豪雨が直接的な原因であるものの、水系ごとに異なる地形と地質が被害の状況やその程度などに影響しているとの見方を示した。

 今後、各流域・地形・地盤ごとの詳細な被害分析を行い、不安定斜面・土砂を抽出。雨量指標などを活用した土砂災害発生危険度の有効性評価の手法や対策法の提案につなげたい考えだ。試料分析など詳細な調査結果が明らかになり次第、公表内容も更新していくことにしている。

 地盤工学会が7月28日に開いた調査報告会では、調査団の副団長を務める廣岡明彦・九州工業大学教授が筑後川水系(支川)別に被害の発生状況を説明。地質図や航空写真を用いながら、多発した斜面崩壊が大量の土砂と流木を発生させ、上流から中流域にかけて堤防決壊やため池の堤体侵食・河道閉塞などを起こし、護岸や道路に大きな損傷をを与えている状況を解説した。

 その上で、「不安定化た斜面や、崩壊土砂が降雨により動き出す恐れがある」として、新たな災害の発生に懸念を示すとともに、「広域的な斜面崩壊の時空間分析を行うなどして、発生土砂量や流木量を把握する必要がある」などと指摘した。

 地盤工学会は、気象特性や斜面崩壊・復旧、土砂移動を考慮した流域圏レジリエンス強化など六つのグループを編成し、9月末まで現地での詳細な調査を続行。土木学会(大石久和会長)が主催する中間報告会でこの間の調査成果を発表し、17年度末をめどに地盤工学会としての最終報告を行う。