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外国人受入事業運用見直し 22年度末まで就労可能に

 国土交通省は、外国人建設就労者受入事業の運用を見直す。2020年度末までの時限措置である受入事業では、18年度以降に入国する外国人建設就労者が最長3年の滞在期間を待たずに帰国せざるを得ず、今後、受入人数が減少する恐れがある。受入事業に関する告示を改正し、20年度末までに入国した外国人建設就労者が引き続き日本に滞在できるよう、22年度末までの就労を認める。21年度以降の入国は従来通り認めない。改正告示は11月1日に施行する。

 外国人建設就労者受入事業は、20年東京五輪の関連施設整備で一時的に高まる建設需要に対応するため、15~20年度の時限措置としてスタート。外国人技能実習の修了者に最長3年の在留資格を与えており、6月末までに受入事業で日本に入国した外国人建設就労者は1801人に上っている。

 ただ、現在の制度では、事業終了まで残り3年を切る18年度以降に入国する外国人建設就労者は、3年間の滞在期間を得られずに帰国しなくてはならない。18年度以降に受入人数が減少すれば、五輪関連施設の円滑な施工を目指す当初の目的を達成できなくなる可能性もある。告示を改正することで、20年度末までに入国した外国人建設就労者に限り、最長で22年度末まで日本で就労できるようにする。

 また、改正告示は、11月1日に施行する技能実習法にも対応。同法では、技能実習2号の修了時に技能評価試験(技能検定3級相当)に合格すると、1カ月以上の帰国後に「技能実習3号」として実習期間を2年延長できるようになる。

 告示改正で、技能実習3号の修了後、1年以上帰国すれば外国人建設就労者として再入国し、最長で3年就労できるようにする。さらに、外国人建設就労者としての就労後、1カ月以上帰国すれば、技能実習3号の在留資格で日本に再入国することも認める。

 国交省は、今回の運用見直しに関する特定監理団体、受入建設企業向けの説明会も開く。説明会は21日から全国8会場で開催する予定だ。

■外国人建設就労者、平均賃金は24.9万円

 国土交通省は8月2日、特定監理団体や建設業団体などでつくる「外国人建設就労者受入事業に係る適正監理推進協議会」を開き、外国人建設就労者の実態調査の結果を報告した。調査結果によると、外国人建設就労者の賃金(所定内・所定外賃金)は平均24万8873円。賃金形態では、月給制の外国人建設就労者が53.8%と半数以上を占めている。

 外国人建設就労者の賃金は、同レベルの技能を持つ日本人と同等額以上とすることが告示で規定されており、ガイドラインではおおむね3年の経験者と同等に扱うことを求めている。

 実態調査には、受入建設企業143社が回答した。この調査結果によると、外国人建設就労者の賃金形態で最も多いのは月給制の53.8%。月給制の所定内賃金の平均は20万5249円だが、最高40万9710円、最低13万3788円と企業によって差がある。

 日給制(日給月給含む)が占める割合は37.1%で、所定内賃金の平均は22万1491円と、月給制よりも平均額が高い。時間給制も9.1%あり、所定内賃金の平均は19万2509円だった。

 外国人建設就労者に支給する手当としては、時間外勤務手当が84.6%と最多で、休日勤務手当(77.6%)、深夜勤務手当(33.6%)が続いている。所定内賃金と所定外賃金の合計額は平均24万8873円となっている。