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工事情報共有システムの活用を試行 宮崎県

 受発注者のコミュニケーションの円滑化や工事書類の処理の迅速化を目的に、宮崎県は県土整備部が発注する建設工事等(営繕工事を除く)の一部で、情報共有システム活用の試行を開始する。対象は平成29年8月18日以降に公告等を行う工事。これに際して「建設工事等における情報共有システム活用試行要領」及び「建設工事等における情報共有システム活用の試行に係る運用マニュアル」をまとめ、宮崎県公共事業情報サービスで公開した。

 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)を活用した情報共有システムは、工事現場に於いて受発注者が電子化された情報を交換・共有することで、より円滑かつ効率的な監督・検査を行うことが目的。国土交通省は平成27年度から全ての直轄工事で導入しているが、都道府県などの他の発注者では一部の利用にとどまっている。

 その活用により期待される受発注者の業務の効率化として、▽工事帳票の処理の迅速化▽工事帳票の整理作業の軽減▽検査準備作業の軽減▽情報共有の迅速化▽日程調整の効率化―があり、これにより受発注者間のコミュニケーションが円滑化することはもとより、建設生産システムの生産性向上を図ることができるという。

 例えば、工事帳票の処理の迅速化では、工事現場が監督職員の在駐する庁舎から遠距離の場合、現場代理人は監督職員へ工事帳票を提出するために長時間かけて移動する必要があるが、情報共有システムを利用することで、現場代理人はインターネット経由で工事帳票を瞬時にいつでも提出することが可能になる。

 また、監督職員に於いても、工事現場に於いてスマートフォン等のモバイル端末から情報共有システムに保存された工事帳票を閲覧しながら工事の実施状況を確認し、その場で工事帳票の処理が可能になる。

 宮崎県の試行で使用する情報共有システムは、国土交通省のホームページ(http://www.cals-ed.go.jp/jouhoukyouyuu_taiou/)に掲載されているASPベンダー。原則として、利用者は当該工事の受発注者とし、受注者においては現場代理人か監理(主任)技術者、発注者においては総括監督員か主任監督員とする。工事帳票の漏洩や改ざんを防ぐため、利用者にはID及びパスワードの管理徹底を求める。

 試行対象工事は8月18日以降に入札公告等を行う工事とし、契約後の受発注者協議において試行の合意を得た工事を対象とする。試行対象工事は入札公告及び特記仕様書にその旨を記載する。入札公告及び特記仕様書に表示のない工事であっても、発注者との協議が調った場合には、情報共有システムの活用を可能とする。

 情報共有システムで共有する書類は、土木工事施工管理の統一事項H22.7(H29.4改定)に基づく①工事打合簿②材料確認書③段階確認書④現地調査・立会書⑤工事事故速報⑥工事履行報告書⑦休日及び夜間作業届⑧その他(要監督員協議書類)―などとし、受発注者の協議により決定する。

 情報共有システムで処理する工事帳票の電子署名・押印については、紙への署名・押印と同等の処理ができることから「書面」として認める。ただし、紙と同等の原本性を担保するため、施工中においては工事帳票の変更履歴を記録し、工事完成後に紙出力しても受発注者の署名・押印と同等の処理がされていることを求める。

 成果品は紙媒体とし、土木工事の技術基準(平成22年7月(平成29年4月改定)宮崎県県土整備部)に基づくものとするが、電子納品対象工事である場合は、工事写真及び工事完成図の電子納品試行要領によるものとする。

 完成検査の終了後、受発注者は情報共有システム内の電子データを出力、またはデータを保管し、作業終了後に速やかに情報共有システム内の電子データを削除する。発注者は、情報共有システム内の電子データが削除されたことをシステム提供者へ確認する。

 情報共有システムを活用した工事に於いては、対象企業に対して試行に関するアンケートへの協力を求める。制度等に関する問い合わせ先は、宮崎県県土整備部技術企画課技術基準担当(電話0985-26-7047、FAX0985-26-7313、メールgijutsukikaku@pref.miyazaki.lg.jp)。

《情報共有システム活用の試行について》