国土交通省は8月1日、「中長期的な地籍整備の推進に関する検討会」を開き、都市部の地籍整備を効率化するための対策案を報告した。この中で、公共事業や民間開発で実施された測量成果を地籍調査に活用するため、測量データを蓄積・共有するプラットフォーム構築を提案。民間事業者にデータ提供のインセンティブを与える補助金を創設することも検討する。
人口が集中する都市部の地籍調査は16年末時点で24%と、全体の進捗率よりも28ポイント遅れている。都道府県別に見ても、進捗率が80%以上なのは佐賀県と沖縄県の2県のみで、16都道府県では20%以下の進捗にとどまっている。
一方、地籍調査以外の公共事業や民間開発で得られる測量成果は、事業主体が保管し、公開されていない。地積測量図も、登録手続きで法務局に提出されるが、数値データは測量を行った土地家屋調査士などが個々に保管している。
このため、地積整備のためのプラットフォームを整備し、公共事業、民間開発、個々の土地取引で得られる測量成果を共有。プラットフォームの測量データを活用し、地方自治体が効率的に地籍調査を実施できるようにする。一般への公開可能なデータはオープンデータサイトに登録し、民間事業者がサイト情報を活用して地積測量図などを作成できるようにする。
民間事業者が測量データ提供にインセンティブを感じられるよう、データ提供に対する補助金の創設も検討する。システムを維持するため、利用費の徴収なども合わせて検討する。