国土交通省などの関係省庁は、建設業の働き方改革を後押しするため、民間発注者と建設業団体による推進体制を構築する。8月25日に連絡会議を立ち上げた鉄道分野に続き、電力・ガス・不動産の4分野で受発注者による体制を整えた上で、「適正な工期設定等に関するガイドライン」を周知。2018年度には各分野別に実態調査やモデル事業も実施する。
鉄道分野では、鉄道事業者(JR7社、日本民営鉄道協会、日本地下鉄協会)、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、日本建設業連合会、全国建設業協会、国交省が参加する「建設業の働き方改革に関する鉄道関係連絡会議」を設置した。
連絡会議では、列車走行の妨げとならない深夜に行わざるを得ない鉄道工事の特殊性を踏まえ、工期設定、発注手続き、勤務体制などを調査する。実態調査の結果を踏まえ、モデル工事を選定して働き方改革を推進する上での課題を抽出する。
鉄道分野に続き、電力・ガス・不動産の各分野でも推進体制を構築。各分野の受発注者を集め、契約方式、工期設定、工期管理に関する実態調査やモデル工事を実施。調査結果などで得られた成果をガイドラインの見直しに反映させる。
8月末までに財務省に提出される18年度概算要求では、各省庁が建設業の働き方改革に対する支援措置を計上している。国交省は、主要4分野への実態調査費に加え、現場技術者の長時間労働是正に関する調査費を要求。現場実務の見直しや書類作業時間の短縮など、長時間労働が常態化している技術者の負担軽減策を検討する。建設業許可、経営事項審査の申請事務の簡素化でも調査費を要求する。
一方、厚生労働省は、中小企業における時間外労働の上限設定を支援する「時間外労働等改善助成金(仮称)」で、建設業を助成金の支給対象に追加。週休2日制を導入した建設企業に対する加算措置も講じる。
農林水産省の直轄工事では、17年度から国営土地改良事業で土日完全休工を促進するモデル工事を試行。さらに、土地改良区の発注工事でも施工時期の平準化を図るよう要請した。ICTやプレキャスト製品の活用による直轄工事の生産性向上も図る。