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水防災意識社会の再構築を加速化 経済被害最小化へ

 国土交通省は8月24日、「水災害に関する防災・減災対策本部」と「南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部」の合同会議を開き、九州北部豪雨の被害などを受け「水防災意識社会」再構築を加速化する方針を決めた。大規模水害による壊滅的な被害回避と経済被害の最小化を実現するため、河川氾濫の発生を想定した事前対策を強化。九州北部豪雨で被害を受けた地域では、再度災害を防止する「九州北部豪雨防災減災対策プロジェクト(仮称)」を実施し、PJで得られた知見を全国に展開する。

 合同会議の冒頭で石井啓一国交相=写真=は「九州北部豪雨をはじめ、地域に深刻な影響を与える災害が頻発している」とした上で「こうした災害の教訓を踏まえ、防災意識社会への転換を図るため、ハード・ソフトを総動員する必要がある」と述べ、出席した関係局長に対策の強化を指示した。

 水防災意識社会の再構築は、河川が氾濫しても被害を軽減するため、避難・水防の事前計画・体制整備(ソフト対策)、施設による対応(ハード対策)を講じた社会を目指す取り組み。九州北部豪雨などの被害を踏まえ、この取り組みをさらに加速させる。

 具体的には、大規模水害時の浸水時間の短縮と長期間浸水するエリアの縮小を図るため、氾濫発生を想定した事前対策を強化する。ハード対策では、氾濫水の排水を可能とする水門施設の機能を向上させるとともに、排水機場を耐水化し、浸水時に排水ポンプが継続して運転できるようにする。地下駅や地下街の浸水対策も進める。

 九州北部豪雨の被災地では、災害が再び起こっても被害を防止・軽減するため、防災・減災対策プロジェクトを立ち上げる。土砂・流木の流出で大きな被害を受けた筑後川右岸流域で、河川事業・砂防事業が連携した復旧事業を実施。プロジェクトの成果を全国の減災・防災事業に反映する。

 南海トラフ巨大地震と首都直下地震に対しては、14年度にまとめた対策計画をより実践的な内容に改定し、発生時の対応力向上を図る。また同日の会議で、20年東京五輪の開催に備え、関連施設の被害最小化と迅速な復旧を図るためのロードマップを策定した。