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全建総連、適正賃金の支払い要望 国交省は実態調査

 自民党の「建設技能者を支援する議員連盟」(佐田玄一郎会長)の総会が8月23日に開かれ、全国建設労働組合総連合(全建総連)が政府の2018年度当初予算への要望を行った。全建総連は、公共工事設計労務単価を現場労働者の賃金に反映する指導を国交省に要請。国交省は、建設業許可業者を対象に賃金支払いの実態調査を9月中に開始すると回答した。また、厚生労働省と連携し、建設キャリアアップシステムに対する助成措置を講じる意向も示した。

 全建総連は、出席した国交省と厚生労働省に対し、8月中にまとまる概算要求に▽建設国保の現行制度の維持と補助水準の確保▽東京五輪関連工事での安全パトロールの実施▽労務単価の引き上げと現場労働者への浸透▽建設キャリアアップシステムに対する助成措置―などを要望。

 労務単価は12年度と比べ全国全職種平均で39.3%上昇したが、全建総連の調査によると建築大工の平均日額賃金は「わずか380円程度しか上昇していない」(勝野圭司書記長)。このため、全建総連は、現場労働者の実態把握とともに、発注者、元請け企業、下請け企業を指導するよう国交省に求めた。

 国交省の田村計土地・建設産業局長は、現場労働者の賃金への単価上昇分の浸透について「発展途上と認識している」と返答。建設業許可業者に対し、公共・民間工事での賃金や法定福利費の支払いの実態を調査した上で、対策を講じる考えを述べた。元請け・下請け取引のルールを定めた「建設業法令遵守ガイドライン」を解説した「適正取引ハンドブック」も作成し、現場労働者への適切な賃金の支払いを促す。

 全建総連はまた、2018年秋の運用開始を目指している建設キャリアアップシステムについて、登録した事業者・技能者らに対する助成措置を要請。田村局長は「厚労省と連携して取り組みたい」と回答。同省は、厚労省の助成制度の支援メニューに盛り込む形で、システムに登録する事業者などを支援する方向で検討している。