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基本計画支援業務は日本経営 西都児湯医療センター整備

 新病院の建設を計画する地方独立行政法人西都児湯医療センター(長田直人理事長兼院長)は、指名型プロポーザル方式で施設整備に係る基本計画策定支援業務の事業者選定を進めていたが、7月31日付で株式会社日本経営エスディサポート(本社=大阪府豊中市)と契約を締結した。今年度は基本計画の策定作業に取り組み、次年度以降に予定する新病院建設の基本・実施設計などにつなげていく。

 昭和55年に建設された現病院(RC造3階建延べ3535m2)は、経年に伴う建物本体や設備の老朽化、施設内部の狭隘化等を背景に、許可病床数である91床のうち65床しか確保できていない状況にある。急性期医療を担う医師不足等の課題を抱える中、同センターには地域災害拠点病院としての役割を果たすことも求められている。

 現状を踏まえ、西都市は識者や市民の代表らで構成する懇話会を設置し、委員の意見等を反映させた「西都児湯医療センター施設整備基本構想」をことし3月に策定。その中で、病院としての機能強化に加え、医師を惹きつける魅力ある施設や設備等を確保するため、移転新築を軸に計画を進めていくことを明示した。

 新病院は、夜間急病センターの維持及び体制の充実、脳疾患・循環器系・消化器系・呼吸器系に於ける専門性の高い急性期医療の提供に加え、安定的な医療提供体制の確立に向けた常勤医師の確保や人材の育成、地域医療機関との機能連携及び役割分担による地域完結型の医療体制の構築、地域災害拠点病院としての機能確保をその特徴に上げる。

 施設の整備計画に関しては、▽災害時に強く安全・安心な施設▽質の高い医療を提供できる十分なスペースと機能性を持つ施設▽患者やその家族などの視点に立った医療を提供できる施設▽医療環境や技術の変化に柔軟に対応できる施設▽経営効率とともに地球環境にも配慮した施設―を基本方針に掲げる。

 許可病床数である91床を確保できる施設を目指すことから、近年の自治体病院の平均的な1床当たり面積を参考に、病院本体の延床面積を7700m2程度と試算。災害拠点病院の整備基準に準拠するため免震構造等を検討すると共に、構造体の耐震安全性の目標は▽構造体=Ⅰ類▽建築非構造部材=A類▽建築設備=甲類―を基本とする。

 建設場所に関しては、自然災害による影響や公共交通機関の利便性、自動車等の交通アクセス、病院規模や機能に基づいた敷地の適性、用地取得に際しての地権者との合意形成等を視点に候補地を抽出。基本計画の策定作業と合わせて候補地に関する調査・検討を行い、最終的な建設地を決定することとしている。

 基本計画の策定にあたり、西都児湯医療センターは指名型プロポーザル方式で支援業務の事業者選定を実施。各社の見積り金額や提案内容を総合的に審査した結果、病院経営や介護施設経営のコンサルティングを手掛ける日本経営エスディサポートと7月31日付で契約した。税抜の契約金額は1300万円。委託期間は30年3月31日まで。

 同社の支援のもと、今年度は基本計画の策定作業や建設地の選定作業に取り組む。基本構想で示した整備スケジュールによると、平成30~31年度にかけて造成設計・工事、新病院建設基本・実施設計等に段階的に取り組み、32年度以降に新病院建設工事に着手する見通し。33年度末の新病院グランドオープンを目指す。