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設計ミス防止、「標準的な履行期間」で試行版 国交省

 国土交通省は、直轄事業の設計ミスを削減するため、標準的な履行期間(試行版)を作成する。施工着手前に見つかる設計成果の修正箇所は、年々減少しているものの、依然として3割以上で発生。「条件確定期間」「報告書作成までの期間」「成果照査期間」の各段階で適正な履行期間を確保することで、履行期間が不足することによって生じる設計ミスを防止する。合わせて、CIMの3次元モデルを活用した効率的な照査も試行する見通しだ。

 発注者・設計者・施工者が集まり、設計思想の共有などを図る3者会議で、施工着手前に修正箇所が見つかった設計成果は16年度に全体の33.7%あった。照査段階で単純ミスをチェックする「赤黄チェック」などの効果で、修正箇所は年々減少傾向にあるが、設計ミスのさらなる削減に向けて対策を強化する。

 標準的な履行期間の試行版は、詳細設計業務を対象に「条件確定期間」「報告書作成までの期間」「成果照査期間」の3項目に分類し、これらを合算して設定する。

 条件確定までの期間は、業務着手、現地踏査、図面作成などの各段階に分けて履行期間を設ける。国交省が直轄の調査・設計業務の受注者に行った調査では、工種・契約額でばらつきがあるものの、100日程度になるとの結果が出ている。条件確定から報告書作成までの期間は業務の価格・工種に応じて設定。成果照査期間は20日間程度とすることを想定している。

 これに加え、17年度から本格導入したCIMを活用した効率的な照査方法も検討する。CIMで作成する3次元データを活用すると、鉄筋の干渉などを自動で判別できるようになり、照査の効率化に効果があるという。2次元図面の詳細設計の照査項目のうち、3次元データ活用で効率化が図れる項目を精査し、10月以降に試行を開始する。