■ 県内企業最上位は清本鉄工の26位
東京商工リサーチは、2016年(1月期~12月期)に決算を終了した九州・沖縄地区の建設業売上高ランキングをまとめた。売上高50億円以上をあげた企業は前年比5社減の110社で6年ぶりに減少に転じ、売上高合計(1兆5659億円、同1.6%減)も3年ぶりに減少に転じた。ランキングのトップは31回連続で九電工。宮崎県内企業は前年比2社減の11社がランクインし、最上位は清本鉄工の26位だった。
今回ランキングの登場企業数は110社。ピークは97年の169社で、その後は減少傾向が続き、09年以降は5年連続で社数の二桁推移が続いた。最少は10年及び11年の85社。12年以降は増加に転じ、15年は15年は115社に達した。しかし、16年は新登場社数が前年比1社減の4社、再登場が同3社減の7社など増加は12社。対して脱落は同9社増の17社で、登場企業は前年から5社減った。
登場社数が減少し、さらに増収企業の構成比が前期比0.8ポイントダウンの61.8%となったことから、売上高の合計は前年比266億円減、伸長率は前回の7.2%からマイナス1.6%と、3年ぶりに減少した。マンションや病院福祉施設、商業施設など民間需要は堅調に推移したが、太陽光市場の冷え込みにより減収もしくはランク外となった企業がみられたことがマイナスの要因となった。
利益金の合計は前年比99億円増の510億円。伸長率は24.1%増で2年連続低下したものの、4年連続の増益となった。過去の景気後退や公共工事の抑制のなか、各企業が経費削減など収益力の強化を推し進め、14年は93年の413億円以来の400億円台となった。以降は伸長率の低下がみられたが、人手不足のなか、選別受注による利益率の確保を推し進める企業が増え、16年は集計開始以来過去最高を更新した。
各県別の売上高は、福岡が9381億0100万円(前年比3.6%増)、佐賀が1072億2200万円(同9.5%減)、長崎が569億6200万円(同2.3%減)、熊本が958億1500万円(同7.3%減)、大分が714億4400万円(同5.6%減)、宮崎が953億1100万円(同17.8%減)、鹿児島が449億9300万円(同41.4%減)、沖縄が1561億1800万円(同12.6%増)で、福岡と沖縄の2県で増加した。
一方、各県別の利益金は、福岡が365億5700万円(前年比56.6%増)、佐賀が12億7200万円(同54.7%減)、長崎が10億0100万円(同21.1%減)、熊本が32億3000万円(同5.6%増)、大分が7億2900万円(同70.2%減)、宮崎が30億9900万円(同14.0%増)、鹿児島が8億9600万円(同50.2%減)、沖縄が42億5900万円(同16.3%増)で、福岡・熊本・宮崎・沖縄の4県で増加した。
増収企業数は、福岡が49社中34社(構成比69.3%)、佐賀が5社中1社(同20.0%)、長崎が6社中5社(同83.3%)、熊本が12社中8社(同66.6%)、大分が7社中4社(同57.1%)、宮崎が11社中3社(同27.2%)、鹿児島6社中2社(同33.3%)、沖縄が14社中11社(同78.5%)。全体では110社中68社で、構成比は61.8%となった。
県内登場企業では、旭化成グループを中心に営業基盤を形成した清本鉄工が前回の2位から1位にランクアップした。2位は県外にも受注基盤を形成した吉原建設。3位の九南は太陽光関連の受注が落ち着き、次年度繰越もあり、売上高は前回と同順位となった。大口案件が完工した4位の森崎建設工業は、前回11位から大幅に順位を上げた。5位は向陽鉄工で、旭化成グループのプラント工事を主力に売上高を伸ばした。
2017年の見通しについて東京商工リサーチは、「熊本地震の復興が本格化し、公共工事の増加が鮮明になる一方で、他県との地域間格差が広がる可能性がある」「人手や外注不足による入札不調や工期の遅れが生じるなか、より受注体制の整っている地場大手業者への寡占化が進むことも考えられ、次回ランキングの登場社数、売上高は再び増加に転じるとみられる」とまとめている。