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土木一式対象にICT活用工事の試行開始 宮崎県 

宮崎県は7月27日、県土整備部が発注する工事の一部で「ICT活用工事」を試行すると発表した。同日以降に入札公告を行う工事のうち、原則として▽河川土工▽海岸土工▽砂防土工▽道路土工―の各工種で1万m3以上の土工量を含む土木一式工事が対象。同日付でICT活用工事試行要領をまとめ、宮崎県公共事業情報サービスで公開した。

起工測量から施工、管理、検査に至る全ての過程でICTを活用するICT土工は平成28年度に国土交通省の直轄工事584件の現場で稼働した。ただ、国交省が目指す「建設現場の生産性を2割向上」の実現には、まずICT土工をはじめとするi-Constructionを自治体発注工事に拡大する必要がある。

全国的な生産年齢人口の減少が予想される中、本県の建設現場における生産性向上も避けられない課題となっている。企業の経営環境を改善し、建設現場に携わる人の賃金水準の向上を図ると共に、安全性の確保を推進していく必要があることから、宮崎県に於いても建設工事の一部で「ICT活用工事」の試行を開始する。

試行要領では、①3次元起工測量②3次元設計データ作成③ICT建設機械による施工④3次元出来形管理等の施工管理⑤3次元データの納品―の各段階において、ICTを全面的に活用する工事をICT活用工事と定義。

具体的には、空中写真測量(無人航空機)やレーザースキャナー等による起工測量を行い、発注図書及びこれらで得られた3次元データを用いて設計データを作成する。これを基に、ICT建設機械(マシンコントロール・マシンガイダンス)による施工と3次元の出来形・品質管理等を行い、3次元施工管理データを工事完成図書として納品する。

対象工事は県土整備部が発注する原則として1万m3以上の土工量を含む土木一式工事。対象工種は、河川土工・海岸土工・砂防土工に於ける①掘削工②盛土工③法面整形工―、道路土工に於ける①掘削工②路体盛土工③路床盛土工④法面整形工―とする。入札公告及び特記仕様書に「ICT活用工事」の対象である旨を記載する。

ICT活用工事を実施した場合は、工事成績評定の「創意工夫」における[施工]「ICT(情報通信技術)を活用した情報化施工を取り入れた工事」で評価を行う。また、国交省が発出している要領に則り監督・検査を実施するものとし、監督職員及び検査職員は受注者に従来手法との二重管理を求めないものとする。

工事完成後には受注企業に対してアンケート調査を行う。今年度の試行対象は数件程度になる見通し。今年度の試行結果やアンケートの結果を踏まえ、次年度以降の取り組みに繋げていく考えでいる。

《建設工事におけるICT活用工事の試行》