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9月から時間外労働の自主規制試行 日建連

 新国立競技場建設工事の下請け企業の社員が長時間労働によって自殺したとみられる問題を重く見た日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、9月から時間外労働の自主規制を試行することにした。7月26日に開いた理事会で決めた。改正労働基準法によって建設業にも適応されることになる時間外労働の上限規制をにらみ、法の適応を待たず、段階的に自主規制を設けて対応していく。中小建設業や地方建設業業界などにも対応を呼び掛けていく。

 9月から試行する具体的な時間外労働の上限については、専門工事業団体や労働組合などの意見を聞いて8月中に決める。

 建設業の時間外労働は現在、法令上、上限規制の適用除外になっている。政府が3月に決定した「働き方改革実行計画」では、労働基準法の改正により時間外労働の上限を年間720時間、単月100時間未満などとし、違反した企業には罰則を適用することにした。また、建設業についても、改正法の施行後5年の猶予を設けた上で上限規制を適用する。

 新国立競技場建設工事の問題に関して日建連では「可能な限り早急に長時間労働の是正を果たさなければならない」としている。今回の対応は、改正法施行後5年の猶予を待たず、9月から時間外労働の上限を自主的に設け、段階的にその上限を引き下げていこうというもの。

 会員企業140社を対象にするが、会員だけでなく、協力会社を含め、現場に参加する全ての下請け企業や労働者を巻き込んだ動きにしていく方針だ。

 また、元請けとして、適正な価格・工期・契約条件での受注を徹底。建設業界全体として時間外労働の上限規制の適応に対応できる態勢を構築できるよう、官民の発注者にも理解を求めていく。