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建築・展示基本設計の概要を公表 内藤記念館再整備事業

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▲新施設のイメージ図

 内藤記念館の再整備事業を進める延岡市は、施設整備に係る基本設計の概要を公表した。敷地内に建て替える施設の規模は、本棟がRC造2階建延べ約3368m2、和室棟が木造平家建延べ192m2を計画。本棟のみで既存施設の約2.4倍の広さを確保する。総事業費は概ね30億円。計画が順調に進んだ場合、来年度に本体建設工事に着手し、32年度の完成を目指す。

 既存施設の老朽化やスペース不足等を背景に、市の歴史民俗資料館として歴史や文化に関わる資料を展示・収蔵している内藤記念館(延岡市天神小路255番地1)に関して、市民の生涯学習の拠点として、また市の歴史文化の情報発信の場として、市民が利用しやすい施設となるよう、現在地に建て替える計画。

 平成26年度に市がまとめた基本構想・基本計画では「延岡の歴史を学び継承し、未来を創造する拠点」「西ノ丸跡の稜線に寄りそって、緑に溶けこみ、周辺の風景と呼応し、歴史性を喚起する博物館」等を新施設のコンセプトに掲げる。

 市が発表した基本設計の概要によると、本棟の1階部分は東西両方向からアクセスでき、団体見学者が集まれるエントランスホールや美術展が開催可能な企画展示室、収蔵室を設ける。2階部分には平常展示室や城山を望める展望ロビーのほか、時代別に住居等を復元し、当時の暮らしを体験できる体験展示室等を設ける。

 配置計画では、現在の敷地への入口を活かしながら、日本庭園に面して正面玄関、情報ラウンジを設ける。現駐車場部分には蔵を配置するほか、敷地西側には駐車場を整備し、隣接する亀井神社も含めて敷地全体の回遊性を持たせる。新施設内の来館者動線も敷地全体を巡る順路の中に組み込む計画としている。

 敷地東側の日本庭園も既存の植栽を活かした再整備を行い、これと一体となる和室棟の建設を行う。和室棟は、茶道や華道などの多様な文化活動を行い、市民が気軽に利用しやすい交流スペースを計画。「建築と庭がともにある博物館」として、格式のある日本庭園と生活感のある雑木の庭を楽しむことができるようにする。

 昨年度までに完了した基本設計の内容を踏まえ、平成29年度はより詳細な実施設計を行う。建築実施設計に関しては、基本設計の意図を実施設計に的確に反映させるため、建築基本設計を担当した山下・小嶋・大山・オノJVと随意契約を締結する考え。一方、展示実施設計に関しては、現時点でその動向は判明していない。

 延岡市の29年度当初予算には今年度事業費として約2億円が盛り込まれており、建築・展示実施設計(1億2600万円)、既存施設解体撤去・収蔵庫移設工事(4993万円)、撤去・移設後の発掘調査(1795万円)を実施する。

 事業スケジュールに関しては、今月から既存施設の解体を進め、埋蔵文化財の発掘調査を実施する。同時進行で建築・展示に係る実施設計も進める見通し。計画が順調に進んだ場合、30~32年度に建設工事(本棟は30~31年度)を進め、32年度以降の供用開始を目指すこととしている。