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公共建築円滑実施で手引き 予定価設定で留意点

 国土交通省は、地方自治体が公共建築工事を円滑に実施するための手引き案をまとめ、7月21日に開いた有識者会議に提示した。手引きは、企画立案から施工に至る各段階で「コスト管理」や「適正な予定価格の設定」に関する留意点を示したもの。事業の初期段階で事業費を適切に算定できるよう、工事発注までの物価変動を見込むことや発注者支援業務などで体制を補完する必要性を指摘している。

 大規模な建築工事が数十年に1度しかない市町村では、ノウハウが組織内に蓄積されないため、設計内容が予算内に収まっているか確認されずに事業が進むケースがある。結果的に入札不調を引き起こし、事業の停滞や手戻りが生じる事例が少なくない。

 手引きは、こうした事態を避けるため、企画立案から設計、施工に至る各段階で発注者が留意すべき点をまとめた。対象事業は、予算措置から工事の発注まで2年程度を要する大規模な公共建築工事を想定している。

 企画立案の段階では、精度の低い工期・工事費が、その後の『絶対条件』となることを問題視。建築物に求める機能を十分に整理した上で、付帯工事費を含めた事業費を適切に算定する他、想定される物価変動率を見越して必要経費を設定することを求めた。

 基本設計については、概算工事費の精度を高める重要性を指摘。設計業務の発注条件を精査することや、設計者に適切な業務報酬を支払って概算工事費の精度を高めることを求めた。企画立案から実施設計を通じ、体制が確保されていない発注者には、民間企業に発注者支援業務を委託することも推奨している。

 施工段階では、入札時に提示する積算数量書の扱いにばらつきがあるとして、国交省が4月から本格導入した「入札時積算数量書活用方式」を採用し、契約後の変更協議に応じることも求めた。