建設コンサルタンツ協会(建コン協、村田和夫会長)と日本橋梁建設協会(橋建協、坂本眞会長)は、鋼橋の設計者と施工者として、鋼橋の保全事業における品質確保と円滑な事業の遂行を目的として連携する。具体的には、鋼橋の保全工事に「設計の受注者が工事段階で関与する方式」と「工事の受注者が設計段階から関与する方式」―の二つの入札契約方式を導入するよう国土交通省に提案。2017年度の「地方ブロック意見交換会」でも各地方整備局に対し、早期の試行の実施を求めていく。
建コン協と橋建協は、国交省の「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(14年3月)が、修繕工事の品質確保を目的に課題を整理し、検討案としていた「設計の受注者が工事段階で関与する方式」と「工事の受注者が設計段階から関与する方式」―の2案を生かす方向で、相互に関与し合うことによって解決できる課題と取り組みについて検討していた。
建コン協と橋建協は、検討の過程でそれぞれの会員企業にもアンケート調査を実施。その結果、設計者には、▽現場の精通性▽現場を踏まえた照査体制▽現場状況の把握、既存構造物の情報不足(形状寸法、施工図書)▽特殊な場合、細部の施工計画技術力の不足▽条件確定後の設計期間の不足―などの課題があることが浮き彫りとなった。
一方、施工者は▽製作、施工への配慮不足既存構造物との寸法や形状の不一致▽設計照査の精度▽工事の遅延による技術者不足▽調査など手戻り作業の発生▽設計担当者の不足―などの課題を抱えていることが確認された。
両者は、今回の提案が実現すれば、設計段階から施工者が関与することで足場を設置できるようになり、その結果、橋梁の損傷を詳細に把握できるようになって設計成果の品質向上に寄与するなど、相互の関与が課題解決につながる部分が少なからずあるとみている。また、施工物に対する責任分担が明確になるとの期待もある。
建コン協と橋建協は、実際の鋼橋の保全工事でこの二つの入札契約方式の効果を検証する必要があると考えており、直轄事業における試行の早期実施を国交省に要望していくことにしている。