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災害時の連絡網確保など課題 熊本県建設業協会が報告

 全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は20日、2017年度の建設業社会貢献活動推進月間中央行事を開き、功労者表彰を行うとともに、熊本県建設業協会による熊本地震での災害復興支援活動など3事例を発表した。熊建協は、災害時の連絡網や総合指揮者の確保などを課題に挙げた。

 熊建協は、16年4月の熊本地震発生時から12月の活動終了時までに延べ6万4542人が活動。道路啓開やがれき撤去、支援物資緊急輸送などを行った。地震発生時には建設会社や官庁も多くが被災。通信手段も失われた。被災地の道路は、橋台部分にできた段差や下水道部分陥没、マンホールの浮き、建物倒壊によって多くが通行不能に陥った。

 熊建協は発災直後、各所からの要請を支部で一括して受け付け、重複依頼を削減した。道路啓開を優先し、対応可能になった会員から順次、応急復旧に着手した。

 活動を振り返って熊建協は問題点として①停電時の役所との連絡体制の確保②会員との連絡網の再構築③行政内部での情報管理の一元化④続発する地震による絶え間ない応急復旧への対応―を挙げた。

 今後の検討課題や改善点として、役に立たなかった広域防災訓練の改善▽停電で使えなくなった災害情報共有システムの改良▽会員との連絡網の再構築(シンプルな連絡網への改善)―などを示した。さらに総括の中で、大震災の発災直後は被災地全体がまひし、マンパワーも不足するとし、他地域からの応援や総合指揮者の必要を強調した。

 加藤建設(愛知県)が「ビオトープ管理士取得による社員の環境意識向上と環境保全活動」、山田(静岡県)が「経営難で閉鎖したキャンプ場の再生による地域活性化」について報告。加藤建設は社員290人のうち130人がビオトープ管理士の資格を取得、ボランティア活動などに生かしているほか、工事の際にも生態系に配慮した設計変更などを提案している。

 山田は、山間部で荒廃したキャンプ場を建設業で培ったノウハウを生かすとともに異業種の多くの企業と連携して再生。利用者や地元に喜ばれている。