国土交通省は、防災拠点となる庁舎などを対象に大規模地震発生後の機能継続に求められる設計上の技術的要件を示すガイドラインをまとめる。熊本地震に被災し、防災拠点としての役割を果たせなかった建築物があったことを教訓に、大規模地震発生後も機能を継続できるよう、設計段階で立地・構造・設備計画の参考となる項目をガイドラインに記載する。2017年度末に新築建築物を対象にガイドラインをまとめ、18年度以降に既存改修へと対象を拡大する。
熊本地震では、倒壊には至らなかったものの、構造部材の損傷、非構造部材の落下などで機能を継続できない庁舎が多く発生した。
建築基準法は、中規模地震で損傷しないこと、大規模地震で倒壊しないことを求める最低限の基準を定めており、国交省は、災害時に機能を継続すべき庁舎、防災・避難・救助の拠点となる施設向けに、設計段階で被害軽減に役立つ、基準法を上回る技術的要件をガイドラインで示す。
7月18日、有識者らを集めた「防災拠点等となる建築物に関わる機能継続ガイドライン検討委員会」の初会合で、ガイドラインの「骨子試案」を示した。これによると、ガイドラインは防災拠点を新築する際、設計者が参考とする。建築主が示す機能継続の目標水準に従い、設計段階で設計者が検討すべき▽立地▽建築計画▽構造計画▽設備計画▽管理―における留意事項を示す。
例えば、立地計画では、周辺のライフラインや道路を含め、災害リスクが低い土地を選択することを推奨。液状化が想定される地域では、敷地や周辺道路を含めて地盤改良を実施することも求める。活断層の近くに立地する場合には、構造耐力の割り増しも検討する。