▲全生連・吉野友康会長
全国生コンクリート工業組合連合会と全国生コンクリート協同組合連合会の会長に吉野友康氏(東京都生コンクリート工業組合理事長)が就任した。生コン業界が直面している課題などに関するインタビューに応え吉野氏は、需要の拡大に向けて引き続きコンクリート舗装の普及に取り組むとともに、i-Constructionへの対応の検討を本格化する考えを述べた。また、品質管理監査制度を軸に品質確保策を強化する意向を示した。
―全生連の総会で新会長に選出され、その後のあいさつの中で、重点課題として需要減への対応と品質確保、業界のイメージアップの3点を挙げた。
「生コンの出荷は1990年度がピークで、2016年度はその半分以下に落ち込んだ。経済産業省が主導し、09年度から5カ年計画で業界の構造改善事業が進められたが、その間、需要が持ち直し気味だったこともあって、工場集約の目標は達成しなかった。しかしその後、出荷が再び減っており、対策を考える必要がある。工場集約を全生連が具体的に指示できるわけではないが、集約に成功した事例や、逆にうまくいかなかった事例などの情報を改めて集約し、組合員に提示することなどが考えられる」
―新たな需要開拓についてはどうか。
「コンクリート舗装の普及に取り組んできており、一定の流れはできていると思う。しかし、地域によって普及の差は大きい。粘り強く取り組んでいくことが必要だ。アスファルトと比較し、早期交通開放の課題があったが、かなり改善している。長期的な目で見たコストの面での優位性を理解してほしい」
―国土交通省の推進する建設業の生産性向上策「i-Construction」にはコンクリート2次製品の活用も含まれており、生コンの需要減につながる懸念もある。
「最近の生コンの需要減の背景には人手不足による工期の遅れや、鉄筋コンクリート造から鉄骨造への構造の変更などがある。また、セメントの出荷に占めるコンクリート2次製品向けの割合が特に目立って増えているわけではない」
「生コンは、構造物を自由な形に造ることができ、強度もある。コスト面でも有利だ。生コンの優位性を訴えていきたい。全生連の中にもi-Construction委員会を立ち上げた。需要減を懸念するだけでなく、生コンによる合理化やメリットを打ち出していければと思っている」
―品質確保についてはどう考えているのか。
「全生連の事業の柱として品質管理監査制度が定着している。今後もしっかりと取り組んでいきたい。しかし、レベルアップを考えた場合、もっと厳しくするべきではないかという意見もある。現在は工場の合格・不合格の判定結果を示すだけで、ランク付けはしていない。だがランク付けをすれば販売に影響する。一方、合格ラインを上げることでもレベルアップが図れる。合格するよう努力してもらう。品質向上のためにそんなことも必要かと思っている」
―将来の担い手確保に向けた業界のイメージアップも重要だ。
「景気が悪くなると人が集まり、良くなると集まらないのが実情。生コン業界に対する社会の認識を変えていく必要がある。どうしても取り組まなければならない課題だ。地域によっては、小学生を対象に生コン工場の見学会を開くなどさまざまな活動を行っている。そういった事例を集め、良いものは全国に水平展開させたい」(地方建設専門紙の会)