高速道路での逆走事故防止が懸案となる中、高速道路会社ごとの対策工事の進捗に大きな差があることが総務省行政評価局の調査で分かった。2017年3月末現在、出入口や分合流部での標示の整備は東日本高速道路や本州四国連絡高速道路ではほぼ完了しているが、阪神高速道路は約45%の進捗率だった。同局は7月7日、対策の効果を高めるため、一部の箇所での標識・看板の設置位置の改善などとともに、高速道路会社によって差がある対策工事の進捗管理の徹底の必要を国土交通省に通知した。
高速道路会社による対策工事は、インターチェンジの出入口やジャンクションの分合流部に高照度矢印板や大型矢印路面標示、ラバーポールの整備などを行うもの。全国での対象箇所は2970カ所。17年度末までに完了させる。
高速道路会社ごとの進捗で、最も進んでいたのは本四高速の100%。以下、東日本が97.5%、中日本が76.7%、西日本が79.2%、首都高速が66.2%で続き、阪神高速は44.8%にとどまった。
国交省は、2020年までに高速道路での逆走事故をゼロにしようと、対策を検討する有識者委員会を15年12月に設置。委員会での議論などを基に、取り組みのロードマップを16年3月に策定し、標識などによる物理的・視覚的な対策や、ICTを活用した新たな逆走防止技術の検討などを進めている。
しかし高速道路での逆走は11~16年度の間、年間200件前後で推移。同じ間、逆走事故は年間30~50件で推移し、減少傾向にない状況だ。そこで総務省は今回、関係機関や現地の調査、有識者などからの聞き取りを実施、調査結果を国交省に伝えた。
総務省の調査によると、出入口や分合流部の施設整備では、対策完了箇所であっても、標識や看板の設置位置を改善すべきケースなども一部であった。
またITCなどを活用した新たな逆走防止対策技術について国交省と高速道路会社は民間から技術を公募、17年3月に28技術を選定し、高速道路での実証実験を開始した。これについて総務省は、18年度からの実用化に確実につなげることとともに、▽標識・看板の標準化による認知技術のコストダウン▽関連データの民間への提供―などについて、民間の意見を参考にすべきことを通知した。