厚生労働省は2016年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況」の速報値をまとめた。 建設業の労災保険法による支給決定件数は全業種の中で最多の586件で、全体の55.5%に上った。「石綿による健康被害の救済に関する法律(石綿救済法)」に基づく特別遺族給付金の支給決定件数は3件で、全業種の23.1%を占めた。
労災保険の支給が決定した建設業における石綿疾病の内訳は、肺がん226件、中皮腫283件、石綿肺47件、良性石綿胸水7件、びまん性胸膜肥厚23件。特別遺族給付金の支給が決定した石綿疾病は肺がんが3件。
一方、労災保険法と石綿救済法を合わせた工種別の支給決定件数は、「建築事業(既設建築物設備工事業を除く)」が429件と最も多く、「既設建築物設備工事業」が97件、「機械装置の組み立てまたは据え付けの事業」が24件、「その他の建設事業」が39件で続いた。
労災保険の支給決定件数を都道府県別に見てみると、東京都が118件で最も多く、以下、大阪府95件、北海道80件、神奈川県77件、広島県58件、愛知県53件―の順で多かった。