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ダム再生、18年度から順次事業化 国交省

 国土交通省は6月27日、堤体の嵩上げや運用改善で既存ダムの有効活用を目指す「ダム再生ビジョン」を発表した。既存ダムの堤体の嵩上げで貯水容量を大幅に増加させる他、堆砂対策による長寿命化などを実施。水没地を極力生じさせずに既存ダムの機能を向上させ、社会的コストや環境負荷を抑制する。2017年度に全8地方整備局と北海道開発局でダム再生の対象箇所を調査し、18年度から順次事業化する。

 気候変動で洪水や浸水被害が毎年のように発生する中、既存ダムを有効活用したダム再生を加速させ、治水安全度・利水安全度を高める。

 ハード対策では、堤体の嵩上げ、堆砂対策、放流設備の増設、低位放流管新設などにより、貯水容量の増加や放流能力の増強を図る。国交省によると、既存の堤体の下流側に新たな堤体を整備し、堤高を2割増加させた新桂沢ダム(北海道)では、貯水容量を6割増加させることができたという。

 ダム再生を円滑に推進するため、既設ダムの地質・ダム構造に関する調査や、関係機関との調整などの手続きを体系的にまとめた「ダム再開発ガイドライン(仮称)」も作成する。

 既存ダムの施設改良に加え、流下能力の不足がダムからの放流の制約につながる河川の改修も重点的に実施。ダム再生と下流河道の改修を一体的に推進し、ダムの治水機能を向上させる仕組みを構築する。

 また、既存ダムの維持管理の効率化と高度化も図る。ダムの堤体の変位を自動観測できる設備の設置を標準化する他、建設段階で作成した3次元モデルを維持管理にも活用する。水中維持管理用ロボットやドローンを点検作業に導入する。