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地理空間情報技術者の必要性確認 イノベーション大会

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▲写真は大会の模様

 日本測量協会(日測協)は6月27日、測量・地理空間情報に関する技術革新と人材の養成などに関する幅広い議論、情報発信の場の提供を目的として企画している「測量・地理空間情報イノベーション大会」の第3回大会を東京大学伊藤国際学術研究センターで開いた。

 セッションなどのプレゼンターらは、UAVや地上レーザスキャナ、MMS(モービルマッピングシステム)などのツールを使った新しい地理空間情報技術やサービス、さらに自社が担当した業務成果などについて解説。異口同音に「空間情報を把握し、マネジメント能力のある技術者」の必要性を指摘した。

 大会初日は、矢口彰会長のあいさつの後、国土交通省国土地理院参事官の鹿野正人氏が「i-Constructionにおける測量の役割」、大林組の杉浦伸哉氏が「『キセイ』概念を打破し『カイゼン』をつかむ」、コマツのスマートコンストラクション推進本部副本部長の小野寺昭則氏が「コマツ・スマートコンストラクションの事例」―と題してそれぞれ発表。

 鹿野氏は「測量・地理空間情報技術の進歩は目覚ましいものがあるが、測量や地図といった要素技術がイノベ―ションを支えている」と強調。電子基準点の役割とその効果についても触れ、「高精度な測量がi-Conの品質を高めている」などと話した。

 大林組の杉浦氏は、国土地理院が「UAVを用いた公共測量マニュアル」を2017年3月に改定し、使用する写真の重複度(ラップ率)を従来の90%から80%に改めたことを取り上げ、「既成概念を打破する『イノベーション』が生産性の向上には欠かせない」と持論を展開。さらに「労働生産性を向上させるには、調査設計から完成検査まで全ての過程で3次元計測が不可欠。そのためには『空間把握による業務適用能力』を持った技術者がますます必要になる」と指摘した。

 コマツの小野寺氏は同社が16年度に関与した全国約400現場を対象にi-Conの効果を分析した結果を紹介。「ICT建機を現場に導入するだけでは生産性を向上できる部分は限定的。建設生産プロセスのボトルネックを取り除き、全工程を3次元でつなぐことが必要」などと述べた。