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共同事業者にインセンティブ付与 高規格堤防整備

 国土交通省は20日、「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」を開き、高規格堤防約120㌔の整備手法改善に向けた取りまとめの骨子を提示した。骨子では、堤防整備後の開発を担う共同事業者に対する税制・融資などの優遇措置に加え、事業区域を自ら拡大する共同事業者にインセンティブが働く制度構築を提案。コスト縮減・工期短縮が可能な新技術の活用実績を事例集にまとめ、他地区に展開することも求めた。

 高規格堤防は、通常の堤防よりも幅の広い堤防を整備することで、洪水時の越流・浸透による堤防の決壊を防ぐ。ただ、堤防の高さの30倍程度の幅で堤防を整備するため、市街地整備に伴う住民合意が必要になり、整備期間が長期間にわたる。現在は首都圏・近畿圏の5河川、合計約120㌔で事業を進めている。

 取りまとめの骨子では、地方自治体との共同事業に限り、整備後の堤防の川裏法面(国有地)を建築物の敷地に算入し、共同事業者が大規模建築物を建設できるインセンティブを与える。固定資産税などの税制の特例、融資による優遇も与える。共同事業者が自ら事業区域を拡大する際、インセンティブが働く仕組みも検討する。

 共同事業者にインセンティブを与える公平性を担保するため、高規格堤防のおよその予定区域を明示した上で、共同事業者を公募することも検討する。

 堤防整備のコスト縮減と工期短縮も図る。高規格堤防の盛土や地盤改良などと建築物の基礎を一体で施工できるようにしたり、公有地を仮移転先として確保することで工期短縮とコスト縮減を実現する。新技術でコスト縮減と工期短縮が実現した実績を事例集としてまとめ、他の整備区間で採用することも求めている。