国土交通省は6月20日、「『水防災意識社会』の再構築に向けた緊急行動計画」を発表した。水防法等の改正を受け、国・県管理河川で21年度までに取り組むハード・ソフト対策35項目を盛り込んでいる。改正法に基づく「都道府県大規模氾濫減災協議会」を18年の出水期までに国・都道府県管理河川で設置し、今後5年間の対策を関係者で共有。中小河川も含めて全国の河川でハード・ソフト対策を加速させる。
国交省は、関東・東北豪雨による被害を踏まえ、「施設では防ぎきれない大洪水は発生する」との認識に立ち、15年度に『水防災意識社会再構築ビジョン』をまとめ、対策を進めている。
緊急行動計画は、16年の台風10号などによる被害を受け、この対策を中小河川も含めて全国で加速するために策定。5月に成立した改正水防法・河川法・水資源機構法・土砂法に基づく対策も計画に盛り込んだ。
改正水防法に位置付けられた大規模氾濫減災協議会には、国土交通大臣や都道府県知事が指定する河川を対象に、流域の地方自治体、河川管理者などが参加して設置する。計画では、水防災意識社会再構築ビジョンに基づく協議会をこの法定協議会に移行し、各協議会で地域の取組方針をまとめると記載した。
協議会では、想定最大規模の降雨による浸水想定区域図の作成、浸水実績の共有などに取り組む。また、国管理河川・都道府県管理河川における「危機管理型ハード対策」「洪水氾濫を未然に防ぐ対策」の整備方針や優先整備区間も関係者で共有する。
既設ダムの嵩上げや放水能力の増強によるダム再生についても、施設改良に向けた調査や、ダムからの放流の制約になっている区間の河川改修を実施する。河川管理を高度化するため、陸上・水中を上空からレーザーで測量する「陸上・水中ドローン」、降雨・強風時も飛行できる「全天候型ドローン」などの新技術を18年度から現場に実装する。