▲橋建協の坂本眞会長
日本橋梁建設協会(橋建協)の新会長に坂本眞氏(日本ファブテック代表取締役社長)が就任した。8日、建設専門紙などとの共同インタビューに応じ、受注の拡大や担い手の確保・育成など業界が直面している課題への取り組みについて語った。
―どう協会をかじ取りしていく考えか。
「1999年度に80万㌧あった鋼橋の発注量が、2016年度は20万㌧を割った。業界を取り巻く環境は非常に厳しい。だからこそ会員各社の意見を集約し、魅力ある業界にしていきたい。会員各社のレベルアップが協会の底上げにつながる。会員を積極的に支援していく」
―鋼橋の発注量の減少が著しい。
「ピーク時と比べ75%減少した。会員数は00年の76社がピークで、現在は30社となり、60%減少した。会員数の減少幅を発注量の減少幅が上回っており、供給能力に比べ事業量が少ないと実感している」
「17年度の各発注機関の発注見通しにある鋼橋工事を合計すると約18万㌧ある。過去のデータから推計すると、今後上乗せもあって22万㌧ぐらいになり、発注量は回復するとみている」
「今後の安定的な発注量の確保に向けて道路整備計画の推進と鋼橋の採用に向けたアピールを行っていく。特にミッシングリンクを解消する道路ネットワークの早期完成や、暫定2車線区間の4車線化プロジェクトなどの推進を働き掛けたい。また、大阪湾岸西進部や下関北九州道路などについても、各プロジェクトにノウハウを提供するなど、協会として事業を支援する」
―担い手を確保し、鋼橋技術を継承していかなければならない。
「業界の魅力を高めるため、若い人にとって夢のあるプロジェクトを実現するとともに、労働環境を変える必要がある。労働環境や処遇の改善には、適切な契約環境を構築することが重要だ。現在、低入札価格調査基準価格の上限の撤廃や、実態と乖離(かいり)した積算の見直しなどを関係機関に求めている。また、工場製作の標準工程を公表するなど、工期の適正を進めている」
「また、懸案となっている完全週休2日を実現するには生産性の向上が必要だ。必要経費の引き上げを求めながら、適正に運用できるよう取り組んでいきたい。国交省が行っている直轄工事での週休2日の試行から課題を抽出し、できるだけ早く完全週休2日を実現できるようにしたい。私の任期の2年間で、方向付けができればと思う」
―生産性の向上ではi―Bridgeの取り組みも注目される。
「ICT活用推進に向けてi―Bridge推進ワーキンググループを4月に技術委員会の下に設けた。具体的には、3Dの設計データと工場製作のデータを連携させることを検討している。まずは、IT化が進んでいる工場生産と設計を結びつける。さらには、現場の生産性を向上させるIT技術や大規模な地組、
一括架設なども検討していきたい」
―インフラの維持管理、特に保全にはどのように向き合っていくのか。
「保全工事そのものが企業にとって魅力ある仕事にならなければならない。国交省には、技術者の配置などで前向きな取り組みをしてもらった。かなり改善は進んでいる。しかし、事業に対する業界の関心は高いものの工事へのアクションがまだ弱い。歩掛りなどの問題もある、問題点を提言しながら、各社が参入しやすい環境をつくっていきたい」