国土交通省は、建築設計の業務報酬基準(告示15号)の改正に向け、早ければ6月中に検討委員会を設置する。発注方式の多様化、建築物の大型化・複合化、標準外業務の増加などに対応し、建築士が業務実態に応じた適正な報酬を得られるよう告示を改正する。検討委で現在の告示の課題を把握するためのアンケート調査などを行い、2018年度の中央建築士審査会に改正案を諮る。
建築士法に基づく告示15号は、建築士事務所が請求できる業務報酬を示すもの。直接人件費、直接経費、間接経費などを個別に積み上げる「実費加算方法」と、建物の用途・規模別に定めた標準業務量から経費を算出する「略算方法」がある。
今回の改正では、このうち略算方法の見直しを検討。告示制定から7年が経過し、設計施工一括発注方式の導入が広がり、基本設計時に実施設計業務の一部が前倒しで行われるケースが増えるなど、標準的な設計業務の在り方が変化。現行の告示では、2万m2を超える大規模建築物の報酬にも的確に対応できていない。
また、建築物の省エネ性能に関する業務、防災計画の作成に関する業務などが標準外業務として規定されていない。
改正案は「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(平成21年国土交通省告示第15号)検討委員会」として、6月中にも発足。検討委員会には、学識経験者4人の他▽日本建築士事務所協会連合会▽日本建築士会連合会▽日本建築家協会▽日本建設業連合会▽日本建築構造技術者協会▽建築設備技術者協会▽日本設備設計事務所協会―の関係7団体が参加する予定だ。