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公共事業に「質の改善」必要 財政審が建議

 財務省の財政制度等審議会は5月25日、2018年度予算編成に向けた建議をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。建議では、公共事業の投資効率が低下傾向にあり、今後は「量の拡大」から「質の改善」を図る必要があると指摘するとともに、高齢化した技能労働者の大量退職が進めば、労働市場の供給制約要因が高まることも必至だと主張。その上で、建設現場の生産性向上を実現できなければ「必要な工事すら実施できない事態となりかねない」との懸念を示した。

 建議では、生産性向上に向けて公共事業の構造改革を進める必要があると訴え、事業評価の厳格化を提言。特に国直轄の砂防事業では、事業化されている39カ所のうち19カ所が事業着手後60年以上が過ぎ、事業が固定化していると指摘。緊急性の観点で優先順位付けを行うとともに、新規採択に当たっては事業評価を厳格に適用するよう求めた。

 一方、下水道の新設・更新に対する国費の補助率が水道事業に比べて高いことを問題視。汚水処理に必要な資本費・維持管理費を全て使用料で賄う地方自治体は1割に過ぎず、下水道利用者による受益者負担を徹底することを要請した。

 建設業の人手不足が公共事業の供給制約になるとも主張した。建設業の働き方改革を進め、週休2日や残業規制の導入が進めば、この供給制約がよりタイトになると予想。こうした供給制約に対応するため、i-Constructionによる建設現場の生産性向上が不可欠だとしている。