国土交通省は、4月28日に開いた建設産業政策会議の企業評価ワーキンググループで、専門工事業者の評価制度を試行導入する考えを示した。技能労働者数や教育訓練体制などを評価項目とし、継続的に技能労働者を雇用・育成する企業が適切に評価される制度を整える。同省が認定する評価主体が、ガイドラインに沿って各専門工事業者を評価する枠組みを想定している。
公共工事の元請け企業の評価制度には経営事項審査があるが、専門工事業者に特化した企業評価制度は存在しない。実態として、元請け企業はこれまでの取引関係や施工実績から専門工事業者を選定している。
国交省は、技能労働者を継続的に雇用・育成し、高い施工力のある専門工事業者を適切に評価する環境整備が必要だとして、専門工事業者の評価制度を構築する考えを示した。
評価項目としては▽工事実績(特に下請け工事の完成工事高)▽財務の健全性・安定性▽技能労働者の人数・能力▽優良従業員表彰の受賞者(建設マスターなど)▽建機の保有状況▽社会保険加入▽建退共加入▽教育訓練体制▽安全管理体制―などを例示した。
業種別などで評価主体を認定し、各評価主体が専門工事業者を評価する仕組みをイメージしている。評価項目や評価方法に関するガイドラインを定め、評価主体にはこのガイドラインに沿って評価するよう求める。
新制度の構築に合わせて、元請け企業が評価制度を活用して専門工事業者を選定する方策、専門工事業者が積極的に評価を受ける方策も検討する。
28日の会合では民間工事の受注企業の情報公開についても議論した。国交省は、建設業許可申請を電子化する際に▽許可申請書▽工事経歴書▽工事施工金額▽使用人数▽財務諸表―などの提出書類をインターネット上で公開し、個人発注者らに提供する考えを示した。 これに合わせて、企業が受注実績や災害対応実績、若年層の雇用状況などをホームページで公開する、任意の情報提供制度づくりも検討するとした。