国土交通省は、堤体の嵩上げや放流設備の増強などで既存ダムの有効活用を目指す「ダム再生ビジョン案」をまとめ、5月17日に開いた有識者会議に提示した。ビジョンでは、貯水容量の増大や放流能力の増強につながるダム再生の加速に向け、2017年度から9地方整備局などで施設改良によるダム再生の候補箇所を調査する他、ダム再開発を円滑に進められるよう「ダム再開発ガイドライン(仮称)」を作成するなどと記載した。
国交省所管のダムでは、これまでも28ダムで再開発事業を実施済みで、既存ダムの容量を有効活用する操作の弾力化も行っている。ビジョンでは、厳しい財政制約の中でダムの老朽化や気候変動に対応するため、ダム再生の発展と加速に向けた方策を示している。
具体的には、堤体の嵩上げや貯水池掘削による貯水容量の増大や、放流設備増設や低位放流管新設などによる放流能力の増強など施設改良によってダム再生を行う箇所を全国的に調査する。17年度から9地整などで調査に着手し、施設改良の諸元などを検討する。
また、ダムの洪水調節機能が十分に発揮できるよう、流下能力不足で放流の制約となる区間の河川改修を重点的に実施するとしている。都道府県管理ダムの再開発を国・水資源機構が代行する制度も創設する。
ダムの再開発を円滑に推進するため、既設ダムの地質・構造に関する調査や関係機関との調整などを体系化した「ダム再開発ガイドライン」もまとめる。
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