国土交通省が5月8日に開いた「建設業社会保険推進連絡協議会」で、全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が同省に対し、社会保険未加入対策を推進する際、現場の混乱を最小限に抑える配慮を求めた。具体的には「社会保険加入や一人親方、民間工事での法定福利費確保の実態を把握した上で、効果的な対策を講じる必要がある」(星直幸業務執行理事)などと訴えた。
国交省は8日の協議会で、建設工事標準請負契約約款を改正して請負代金内訳書に法定福利費の明示を義務付けたり、地方自治体の発注工事で未加入企業の排除措置を徹底するといった、追加対策の内容を報告。
これに対し全建は「地域の元請けは受注産業という弱い立場にある」と述べた上で「元請け責任の下にペナルティーを科すには、民間工事を含めて加入原資を確保するなど、環境整備がまず先ではないか」と訴えた。
また、自治体発注工事の対策を徹底することについては「業者の廃業、地域雇用への影響の実態を把握しなければ、自治体の不安を払しょくすることはできない」とした。
こうした意見に対し、国交省土地・建設産業局の木村実建設市場整備課長は「加入実態をしっかりと把握していきたい」と応じる一方、「5年間の取り組みで環境整備は進んだと考えている」と説明。「建設業全体の担い手確保を進めるためのもの。手を緩めることなく、対策を講じていきたい」と続け、追加対策への理解を求めた。