建設技術研究所、長大、ニュージェック、復建エンジニヤリング、八千代エンジニヤリング―の5社は、内閣府が「仕事・子育て両立支援事業」として行っている「企業主導型保育事業」の助成金を活用し、認可外保育所を共同で設立・運用する方向で協議・調整を進めていく考えでいることを明らかにした。建設コンサルタント業界の女性の活躍をはじめとしたダイバーシティの推進と、働き方改革を連動させた戦略的な取り組みとして注目を集めそうだ。
長大の永冶泰司代表取締役社長が発起人となり、5社が2016年11月に中堅幹部らで構成する検討会を設置。保育所の共同設立・運用の実現可能性を探っていた。
検討会が5社の東京都内の事業場で勤務する社員を対象にした暫定的なニーズ調査を実施したところ、回答を寄せた7割以上が事業所内保育所が「あればよい」と回答するなど肯定的な意見が多かった。設置された場合、「利用したい」が3割、「利用したくない」が2割、半数近くが「応えられない」とした。「利用したくない」と回答した人の8割が「ラッシュ時の通勤」を挙げており、フレックスや時短・在宅勤務など他の施策と連動させた取り組みの必要性などが確認された。
また、世代間の意識の差なども見られたことから、事業場内保育所は企業として「ダイバーシティ」の取り組みの一つとして位置付けることの重要性も再確認された。
5社の検討会はこれまでの検討結果から、5社の社員が利用することを前提に開設場所(候補)はJR両国駅周辺、定員は0歳児~3歳児以上までの最大20人と想定。運営方式は共同運営型が望ましいとしつつ、時間的な制約から代表運営会社が主体となって運営する共同設置(運営)型を選択するよう提案した。
さらに検討会は、整備費と運営費の企業負担を軽減するためにも企業主導型保育事業の助成を申請するべきだとしており、内閣府が目標定員の5万人が確保された時点で助成金の受け付けを終了する恐れもあるとして17年度内の助成申請に向け、各社の意思確認と具体案の作成を急ぐよう求めた。検討会からの報告を受けた5社は、保育所の設立・運用には定款変更の必要もあることから、推進体制を確立するとともに、リーガルチェックなども含めた準備と社内環境の整備も並行して進めていく考えだ。