国土交通省が行った空き地に関するアンケート調査で、今後10年間で空き地が増加すると回答した市区町村が全体の55.7%に上ったことが分かった。空き地になった公有地を所有する市区町村も70.4%あり、財政的に開発の余裕がない、事業性が低く計画が成立しないといった理由で恒久的な利用のめどが立たない現状も浮き彫りになった。
国交省が5年に1度行っている土地基本調査によると、全国の空き地面積は13年度時点で1554平方㌔。空き地率は08年度と比べ1.1ポイント増え、8.2%になった。
空き家とともに、空き地も増加傾向にある現状を踏まえ、国交省は1月に有識者会議を設け、空き地の適正管理と活用に向けた検討を開始。空き地の現状把握を目的に、全国の空き地所有者と市区町村を対象にアンケート調査を実施した。
市区町村向けの調査結果では、今後10年間で空き地が増加すると答えた市区町村が55.7%と半数を超えた。空き地が増加する現状に対し、35.4%の市区町村が適正管理・活用を促進する条例を制定していると回答した。
また、空き地になっている公有地を所有する市区町村は70.4%。理由については、「財政的に開発する余裕がない」(36.4%)、「開発を検討しても事業性が低く計画が成立しない」(18.8%)などの回答が多かった。空き地になっている公有地の今後の活用については「土地を売却し、民間事業者の資金・ノウハウを利用して開発してほしい」と答えた市区町村が42.6%を占めた。
一方、空き地所有者に売却・賃貸の意向を問うと、売却の意向がない所有者が27.8%、賃貸の意向がない所有者が27.5%とそれぞれ3割を占めた。売却・賃貸しない理由としては「資産として保有し続けたい」「困っていない」という回答が多かった。
売却・貸し付けのための情報提供に関する設問では「情報提供は一切行わない」との回答が34.4%と最多だったが、「広く一般に提供してもよい」(15.6%)、「自治体や信頼できる団体に限ればかまわない」(16.7%)など、前向きに考える所有者もいた。