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直轄工事で働き方改革 適正工期で週休2日対応

 国土交通省は、2017年度から直轄工事で週休2日を取得できる適正工期の確保に取り組む。工種ごとに工期を自動算出できる「工期設定支援システム」を原則として全工事に適用する他、「準備・後片付け期間」の対象拡大や「工事工程の受発注者間の共有」により、週休2日を前提とする適正な工期設定が可能な環境を整備する。工期に加え、週休2日で増加する必要経費を後精算で支払う仕組みも整える。週休2日を実施した工事では、工期延長に要する現場事務所などの経費を間接工事費率の補正で発注者が負担する。

 3月14日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」にこうした方針を報告した。

 国交省は14日の会合で、現場で十分な休日を確保できない要因の一つに、受注者の実働日数よりも、発注者が設定する設計工期が短いことがあると分析。このため、17年度はまず、昨年10月から試行導入した「工期設定支援システム」を全工事(維持工事を除く)に適用することを決めた。

 同システムは、歩掛の日当たり施工量を基に工種ごとの所要日数を自動的に算出するシステム。雨休率などを自動設定できる他、過去の同種工事と対象工事を比較し、工期の妥当性をチェックすることもできる。直轄工事での本格的な適用に合わせ、地方自治体への普及にも力を入れる。

 加えて、「準備期間」と「後片付け期間」を見直し、着工前と工事完了後に余裕のある工期を設定できるようにする。昨年10月から試行していた7工種に加え▽鋼橋架設工事▽PC橋工事▽橋梁保全工事▽舗装工事(新設工事)▽舗装工事(修繕工事)▽道路維持工事▽河川維持工事▽電線共同溝工事―の8工種を追加する。

 さらに、工程を左右する〝クリティカルパス〟を受発注者が共有することを全工事で原則化する。施工の途中で受注者に責任のない理由で工程に遅れが生じた場合、発注者に必ず工期を変更することを義務付ける。

 一方、週休2日で工期が現状よりも長くなると、安全施設や現場事務所などのリース料が増加し、企業のコスト負担が増す。

 このため、週休2日を実施した工事では、共通仮設費率に0.21ポイント、現場管理費率に1.07ポイントを補正し、後精算で発注者が経費を支払う。工事費1億円の道路改良工事では、共通仮設費率の補正で約100万円を増額できるという。

 国交省は、政府全体で進める働き方改革の動きを見据え、まず直轄工事の現場で週休2日の実現を狙う。17年度は、受注者が希望すれば週休2日を実施できるモデル工事を2000件程度発注したい考えだ。