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小規模施工に最低保障額 土木工事積算基準を改定

 国土交通省は3月10日、2017年度の土木工事積算基準を発表した。改定では、維持修繕工事のうち、1日未満で作業を終える小規模施工の歩掛を見直し、機械・労務費に最低保障額を設定した他、区画線工など6工種で市場単価方式による単価設定を廃止し、施工実績に基づく土木工事標準単価に移行する。また、共通仮設費の「イメージアップ経費」の経費率を見直し、現場への女性更衣室の設置や熱中症予防への支出を認めるとともに、名称を「現場環境改善費」に改める。

 改定した積算基準は、4月1日以降に入札書の提出締切日を設定している直轄工事から適用する。

 1日未満で完了する小規模施工は、作業時間を2時間で積算するため、数量による積算では実態と乖離(かいり)が生じてしまう。このため、機械・労務費は4時間以下を半日分、4~8時間を1日分とみなす最低保障額を設け、実態を正確に反映できるようにする。材料費は使用数量を計上する。

 機械・労務・材料費のいずれも精算時に変更対応する。対象は、河川維持工の15工種、道路維持修繕工の19工種、その他の工種の14工種。

 市場単価は、歩掛を使わず、施工単位当たりの元請け・下請け間の取引価格で設定するもの。市場単価を採用する6工種は、元下取引のデータ収集が難しいことから、実態調査を基に設定する歩掛を使う土木工事標準単価に移行する。移行時期として、区画線工・高視認区画線工・排水構造物工は10月、コンクリートブロック積・橋梁塗装工・構造物とりこわし工は18年4月を予定している。

 現場事務所の快適化やデザイン工事看板の設置などの費用を発注者が負担する「イメージアップ経費」は、名称を「現場環境改善費」に変更し、熱中症予防や女性更衣室設置費の支出を認める。最新の実績データに基づいて経費率を見直すことで、地方部では従来よりも10%程度の増額が見込まれる。

 この他、一般交通を規制する現道上の工事で、施工地域と工事区分別の補正係数を見直す。路盤工を対象とするICT舗装工の実施に伴い、ICT舗装積算基準を新設し、路盤工の工事費を従来施工の1.1倍に増やす。

■標準歩掛の新設・改定は11工種

 施工合理化調査などの結果を踏まえ、土木工事標準歩掛は11工種で新設・改定する。鋼管杭に全回転型オールケーシング掘削機で回転力を与え、地中に貫入させる「回転杭工」と、地盤にセメント系・石灰系の固化材をスラリー状で圧送し、原地盤と攪拌・混合する「スラリー攪拌工(変位低減型)」の標準歩掛を新設。さらに▽ニューマチックケーソン工▽残存型枠工▽鋼橋架設工▽鋼床板現場溶接工▽道路除雪工▽大型土のう工―の6工種の標準歩掛は、日当たり施工量・労務・資機材を全面改定する。PC橋架設工、油圧圧入引抜工、鋼床板Uリブ現場溶接工の3工種は標準歩掛を一部改定する。