建設コンサルタンツ協会(長谷川伸一会長)は、建設コンサルタント経営セミナーを都内で開いた。東京大学先端科学技術研究センター教授の森川博之氏を講師として招き、ICT(情報通信技術)の高度利用によるアナログプロセスのデジタル化の現状と、新たに開発・流通している(しようとしている)新たなデバイスなどが、これからの建設生産システムや建設コンサルタントの業務に及ぼす影響などについて考察した。
森川教授は「デジタルの脅威」と題して講演。「IoT(モノのインターネット)ビジネスと公共サービスとの親和性は高い」などと指摘し、一般廃棄物の回収業務などを例示した上で、「人のやっていることのほとんどはデジタル化できる。デジタル化が全てを変えようとしている」と話した。
また、グーグルがサーモスタットだけを作っている会社を32億ドルで買収した例や、AI(人工知能)が、当時最強との呼び声が高かった棋士と対局してこれを破ったエピソードなどを紹介。
「これまではコンテンツや画像、人のつぶやきなどをビッグデータとして集積してきたが、これからは、私たちの生活の周りにある実際のデータを集めて、新たな価値を創造する時代に移行しようとしている」と指摘。労働人口の減少と生産性向上に対するニーズの高まりが「ビジネスそのものを再定義しようとしている」と話し、建設コンサルタント業界がこうした環境変化を鋭敏に感じ取り、自らの業務に生かして行く必要を説いた。