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宮崎県溶接協会が創立60周年 更なる飛躍と発展へ意を新たに

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写真は挨拶する碕山理事長、記念式典の模様

 一般社団法人宮崎県溶接協会(碕山裕和理事長)は4日、協会創立60周年の記念式典と記念講演、祝賀会を宮崎市内で開いた。多数の協会員に加え、松下新平参議院議員や長峯誠参議院議員、宮崎県の内田欽也副知事、一般社団法人日本溶接協会の粟飯原周二会長ら多くの来賓が出席。出席者は協会創立60周年の節目を盛大に祝い、更なる飛躍と発展へ意を新たにした。

 記念式典で主催者を代表して挨拶に立った碕山理事長は、永年にわたり協会理事として「人と人との繋がりを深め、次世代への技術の伝承や溶接技術そのものの普及活動を図る」ことを念頭に活動を展開してきたと説明。その実現に向けて、溶接技術競技会宮崎県大会の開催や全国大会の本県誘致と実施、トップクラスの技能者が集う交流会の開催、高校生の指導体制の確立等に努めてきたことを紹介した。

 その結果として、溶接技術を競い合う全国大会に於いてチーム宮崎として輝かしい成績を残してきたこと、若い世代の優秀な技能者が数多く台頭してきたことを引き合いに、「県内全域の若年層の溶接技術・技能の底上げに繋がった」と指摘し、各種事業に対する会員各位や関連企業・団体の協力に「衷心より感謝申し上げる」と謝意を示した。

 今後の業界の変化に対する予測がつかない中で、「自分達に出来ることを精一杯やり遂げ、次世代へ想いを繋ぎ、生き様を示すほかに道はない」と言及。「絶え間なく歩いてきた60年の道の中に、我々が果たすべき役割や課せられた業務、熱い情熱・感動が必ず見えてくる」とし、「多くの方々の知恵を拝借しながら、次の10年に向かって、明朗で活発で実行力のある協会を目指していく」と意気込みを語った。

 来賓祝辞を述べた松下議員は「災害対応としての耐震やメンテナンス等に於いて溶接技術に大きな期待が寄せられている」、河野俊嗣宮崎県知事の祝辞を代読した内田副知事は「溶接はものづくり産業の発展に欠かすことのできない基盤技術であり、高度な技術を有する優秀な技術者の育成は産業振興に取り組む上で重要だ」と述べ、協会の果たす役割に期待感を示し、活動をサポートしていく考えを示した。

 日本溶接協会の粟飯原会長は、技術立国である日本の技術を今後も支える上で、継続的な教育を行うことの重要性を強調。各県協会と手を携え、これまで以上に教育事業を拡大していく考えを示した。九州地区溶接技術検定委員会の秋山哲也委員長(代読)は、協会員や顧問が一体となったチーム宮崎を組織し、後進が成長する風土と伝統を堅持していることに敬意を表し、今後のチーム宮崎の更なる活躍に期待を寄せた。

 その後、宮崎県溶接協会の鳥越清相談役が協会の歩みを紹介。昭和31年に日本溶接協会宮崎県支部として設立され、平成21年に宮崎県溶接協会へ移行して現在に至っていること、協会事業として▽溶接技能認定試験▽溶接技術競技会▽技術研修会▽情報発信―に取り組んでいること、平成24年10月に本県で開催された全国溶接技術競技会の模様、最近の九州地区高校生大会に於ける本県勢の活躍などを紹介した。

 表彰及び感謝状贈呈では、永年にわたり本県溶接業界の発展に尽力してきた協会理事や関係者、溶接技術競技大会の上位入賞者に表彰状が贈られたほか、溶接技術評価試験関係者、溶接技術競技大会後援関係者、講習会関係者、高校生大会関係者に対して感謝状が贈られた。表彰及び感謝状の受賞者は後記参照。

 式典終了後には、広島東洋カープのエースとして活躍した北別府学氏を講師に招き、「私の野球人生と現在」と題して記念講演が行われた。北別府氏は、実家である当時の鹿児島県末吉町から県立都城農業高校までの道程を自転車で通学していたこと、入団してからの好打者との対戦、引退後に解説者やコーチとして学んだことを紹介。ユニークなエピソードを交えた北別府氏の講演内容は会場を大いに沸かせた。

表彰及び感謝状の受賞者は次のとおり(敬称略、順不同)。
*表彰
▽宮崎県知事表彰=碕山裕和
▽日本溶接協会会長表彰=碕山裕和、後藤健治、西村憲治、島原俊英、山口順一、清本康夫、奈良博志、阿萬正紀
▽理事長表彰(永年在任役職員)=鳥越清、荒武崇幸、松田清、田代克己、黒木勝幸、金城隆
▽理事長表彰(溶接技術競技全国・九州大会上位入賞者)=小野毅、豊田將伸、中武豊、内村浩、武田一寛、長野秀樹、吉本浩貴
*感謝状
▽溶接技術評価試験関係=池上鉄工所、山田工業、コマツ宮崎、高齢・障害・求職者雇用支援機構宮崎支部、宮崎職業能力開発促進センター延岡訓練センター、日向地区中小企業支援機構、宮崎県工業技術センター
▽溶接競技大会後援関係=日刊工業新聞社、宮崎県鉄構工業会、宮崎県工業会、宮崎日日新聞社、宮崎県高圧ガス流通保安協会、建設ネット
▽講習会関係=河野雅光(県立産業技術専門校)、染矢和正(前同)
▽高校生大会関係=ひまわり工業会、日向鉄鋼会、県立延岡工業高等学校、県立日向工業高等学校、甲斐邦廣(宮崎県機械技術センター)、原田芳男(前同)。

■祝賀会で親交深める

 記念講演終了後には、同会場で祝賀会が催された。挨拶に立った碕山理事長は、協会の理事就任時に先輩諸氏から「目的をはっきりと持ち、状況を把握して、手段を確立することが大切だ」と教えられたエピソードを紹介。祝賀会を通じて「本音で今後の事を皆で話し合い、次のステップに繋げていきたい」と参加者一同に呼び掛けた。

 協会顧問を務める宮崎県議会の横田照夫議員は、溶接がものづくりを支える基幹技術であることを強調し、「ものづくりを支える技術者の育成に注力して欲しい」と挨拶。宮崎県商工観光労働部の中田哲朗部長は、人口減少に伴う人手不足が深刻化する中、若者に地元に残ってもらうためには、魅力ある企業ややりがいをPRすることが重要だと指摘し、会員各位の協力を得ながら行政として取り組んでいく姿勢を示した。

 一般社団法人溶接学会九州支部の西尾一政支部長が乾杯の音頭を発声し、祝宴へと入った。テーブルに並べられた料理や地元焼酎に舌鼓を打ちつつ、参加者は談笑を楽しみ、親交を深めていた。祝宴では、日向ひょっとこ踊りやベリーダンス、北別府氏のサイン入りバット及びボールのチャリティオークションも行われた。

 終わりに、宮崎県工業技術センターの冨山幸子所長の発声に合わせて参加者全員で万歳三唱を行い、宮崎県溶接協会及び本県溶接業界の更なる発展と飛躍を誓いつつ、記念式典及び祝賀会の全てを滞りなく終了した。