宮崎県西臼杵支庁は、国道218号上顔橋(日之影町七折)の耐震補強化に向けた検討に着手する。去る11月15日には、現橋の詳細点検や詳細調査、補修設計、耐震補強設計を含む「国道218号上顔橋橋梁耐震補強検討業務」の入札を指名競争で執行し、長大が落札した。委託期間は30年3月30日までを予定している。
国道218号に架橋されている上顔橋(かみつらはし)は昭和60年3月に竣工。橋長は190mで、橋梁形式は鋼5径間連続Ⅴレッグラーメン橋+単純活荷重合成鋼鈑桁橋。支間長は30m+45m+75m+40mとなっている。設計活荷重は一等橋(TL-20)で、適用示方書は昭和55年道路橋示方書。
現橋はラーメン構造であり、横軸方向と横軸直角方向の剛性が非常に高いため、内陸直下型地震に対する応答が大きく、損傷が著しいことが懸念されるが、複数部材を剛結合した骨組構造であるため、構造改変することが難しい。支承部に関しても、Vレッグ基部がピン支承であるため、横軸直角方向の耐力不足が懸念される。
現橋の耐震補強化に向けて、西臼杵支庁は去る11月15日に「国道218号上顔橋橋梁耐震補強検討業務」の入札を指名10者で執行。その結果、長大が4765万3000円で落札した。予定価格は5952万3000円、最低制限価格は4763万2264円だった(金額はいずれも税抜)。
今回の業務では、実施方針や実施工程等を取りまとめた業務計画書を作成し、現況や周辺地形状況等を確認する現地踏査や既存資料の収集整理を行った上で、これらの結果や橋りょう点検マニュアルに基づいた詳細点検を実施。確認された損傷について健全性評価を行い、対策工法の検討・補修計画・補修図の作成・数量計算を実施する。
一方、耐震補強に関しては、上顔橋全体を3次元骨組でモデル化した解析モデルの作成と固有振動特性の整理を実施。構造安全性や地震後の供用性、修復性等の観点から現橋の耐震性能評価を行い、耐震性能を満足していない場合は、経済性・施工性・復旧のしやすさ・景観に優れた耐震性能向上策案を選定する。
これらを踏まえ、耐震補強構造としての▽粘性ダンパー本体と取付構造▽橋脚巻立補強▽V脚支承部補強▽当て板補強▽側径間部の支承補強▽落橋防止構造と取付構造▽段差防止構造と取付構造―に係る詳細設計を実施。支障物件・既設構造への対策、施工ヤードの確保、施工方法及び施工順序等の施工計画を策定する。