▲写真は挨拶する協会の西田会長、記念式典の模様、表彰式の模様
一般社団法人宮崎県測量設計業協会(西田靖会長)と宮崎県測量設計事業協同組合(白濵隆寛理事長)は1日、協会創立50周年及び組合創立40周年の記念式典と祝賀会を宮崎市内で開催した。「ひむかの国、未来を描いて半世紀」をテーマに、参加した多数の会員及び組合員が、古川禎久衆議院議員、河野俊嗣宮崎県知事、一般社団法人全国測量設計業協会連合会の野瀬操会長ら多くの来賓と節目を盛大に祝い、更なる飛躍と発展に向けて意を新たにした。
協会の前身である宮崎県測量業協会は昭和42年に会員10社で任意団体として発足。昭和48年の法人化に合わせて、宮崎県測量設計業協会に改称した。「協調・正確・迅速」を信条に、測量設計業に係る調査研究や研修会等の開催、普及・啓発等に係る取り組みなど、業界の健全発展と地位向上に向けた活動を展開している。
式典で挨拶に立った協会の西田会長は、高度経済成長期の真っ只中だった協会発足時、安定成長時代に突入した法人化移行時、バブル崩壊後の失われた20年など、これまでの協会の歩みを日本経済史に準えて説明。「各時代の景気はどうあれ、その時々に様々な課題があった。これに真摯に向き合い、乗り越えられた諸先輩がいたからこそ、今日を迎えることができた」と述べ、先人に感謝の意を示した。
西田会長は「これからの10年、50年先を考えた時、担い手不足や大規模災害への対応、i-Constructionに代表される生産性革命に取り組んでいかなければならない」と言及。「業界を取り巻く課題は山積しているが、厳しい時代を乗り越えられた諸先輩方を見習い、皆で力を合わせて、若い世代に良い時代をつくるために頑張っていきたい」と意気込みを語った。
続いて挨拶に立った組合の白濵理事長は、協会から10年遅れの昭和52年に組合が設立されたことを紹介。組合と協会を表裏一体と位置付け、協会が対外的な活動を主とする一方、57社で組織する組合は実行部隊であり、全国でいち早く取り組んだ橋梁点検業務など組合にしかできない事業を目指して努力していることを説明した。
白濵理事長はこのほか、東日本大震災や九州北部豪雨、熊本地震の被災地への災害派遣などを例に「九州はひとつ」であることを強調。関係機関や他県協会と連携を図りながら、「更なる高みを目指し、知識や技術、見聞を広げて、良い技術者を育てていく方向へ持っていきたい」と今後の組合活動の道筋を示した。
表彰式では、多年にわたって業界及び団体等の健全な発展に貢献したとして、国土交通省土地・建設産業局長感謝状と宮崎県知事表彰を宮崎県測量設計業協会に授与。白濵隆寛氏に全国測量設計業協会連合会会長表彰が贈られたほか、▽塩月隆久氏▽渡邊均氏▽日髙宗平氏―の3氏に全国測量設計業協会連合会会長の感謝状が贈られた。
来賓祝辞では、国土交通省土地・建設産業局の田村計局長(代読=勝瑞智章建設市場整備課企画専門官)、河野俊嗣宮崎県知事(代読=瀬戸長秀美県土整備部次長)、宮崎県議会の蓬原正三議長(代読=後藤哲朗議員)と丸山裕次郎議員、全国測量設計業協会連合会の野瀬操会長が招かれた多数の来賓を代表して挨拶。
田村局長は、測量設計業が社会資本整備の入り口として、事業の安全性・経済性の向上に不可欠な基本情報の提供から社会インフラの最終的な維持管理まで、幅広い分野の品質管理に寄与するなど、極めて重要な役割を果たしていることを指摘。技術者の育成や災害対応体制の構築などの協会及び組合の活動に敬意を表し、「これらの有意義な活動を継続し、建設産業の更なる発展に寄与して欲しい」と期待を寄せた。
河野知事は、良質な社会資本整備による安全・安心な県土づくりや地域社会の発展に繋がるこれまでの取り組みに敬意を表し、蓬原議長は、大規模災害に備えた防災・減災等の取り組みの中で建設関連産業が最優先に対応にあたる大切な担い手であることを強調した。丸山議員は「厳しい時代を乗り越えるためには、各自が技術の研鑽に励み、互いに協力しあうことが重要だ」と述べた。
野瀬会長は、南海トラフ巨大地震による甚大な被害が各地で想定される中、GNSSやUAVなどの最先端技術を活用し、測量設計業協会が迅速な災害対応に臨む所存であることを示す一方、「そのためには担い手の確保が必要不可欠だ」と指摘。関係機関との意見交換や協議・要望等を通じて、課題の解決に取り組んでいく考えを示した。
式典に招かれた多数の来賓が紹介され、足立敏之参議院議員の祝電が披露された後、協会50年と組合40年のあゆみを映像で振り返り、歴代の協会長や組合理事長、近年の主な活動内容等を報告した。また、今回の記念事業の一環として、一般社団法人宮崎県産業開発青年協会の小野耕嗣会長にドローン及びタブレットの目録が贈られた。
■更なる飛躍・発展へ意を新たに
祝賀会で挨拶した協会の西田会長は、東日本大震災や九州北部豪雨災害に代表される自然災害が猛威を振るったこの10年を振り返り、「災害時には我々が絶対に動く」という不退転の決意を持つ重要性を説き、「九州はひとつ」の合い言葉のもと、各県協会の連携をより強固なものにしていく必要性に言及。一方で「意を同じくする者が集まり、声を大きくすることが協会の存在意義」であり、一致団結して「次の50年へ歩みを進めて行こう」と述べた。
また、組合の白濵理事長は、少子高齢化に伴う労働人口の減少や長時間労働の是正、生産性の向上など労働環境に関する課題について触れ、「これらは一企業が取り組んで解決できることではなく、行政と民間が共に業種特有の悩みについて考えていかなければならない」と指摘。祝賀会に様々な業種の行政関係者や民間企業の代表が出席していることを踏まえ、これを契機に互いの親交や交流を深めて欲しいと呼び掛けた。
来賓祝辞では、古川禎久衆議院議員、河野俊嗣宮崎県知事、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の鈴木彰一所長、宮崎県市長会会長の戸敷正宮崎市長、一般社団法人全測連九州地区協議会の藤本祐二会長が挨拶。
河野知事は「社会資本の老朽化や災害対応に向けて事業量や人材を確保することが重要だ」と指摘。安全・安心で良質な社会資本整備の担い手である建設産業として「これからも地域社会の発展に貢献して欲しい」と述べた。鈴木所長は、人工知能や情報通信技術の進歩など、次の10年を迎える中で大きな変化が予測されることを踏まえ、「人材の確保が難しい中、その変化を前向きに捉えて活用して欲しい」と呼び掛けた。
藤本会長は、現存する日本最古の企業を引き合いに「社会から必要とされる会社や業界は発展し続けることができる」と指摘。「建設産業の最上流である測量設計業が、無くてはならない産業であることを一般に広く認識してもらうことが必要」であり、「社会からの要請を受けて、未来永劫、発展し続ける業界となることを願う」と述べた。
公務により遅れて駆け付けた戸敷会長は、公共事業の基礎となる測量設計を通じて地域社会に貢献していることに敬意を表し、「更なる技術研鑽を図り、本県の発展に尽力して欲しい」と呼び掛けた。協会顧問の古川議員は、厳しい財政状況下で公共事業費の大幅な増加が見込めない中、協会及び組合が災害対応などの国民生活を支える活動に献身的に取り組んでいることに感謝の意を示した。
宮崎県建設産業団体連合会の山﨑司会長の乾杯の音頭で開宴し、参加者はテーブルに並べられた料理や地元焼酎に舌鼓を打ち、談笑を楽しみながら互いに親交を深めた。日南市泰平踊り本町保存会による「飫肥泰平踊り」やジャズバンドの演奏が会場を大いに盛り上げた。終わりに、宮崎県中小企業団体中央会の矢野久也会長(代理=小八重英専務理事)の発声に合わせて参加者全員で万歳を三唱し、記念式典及び祝賀会を滞りなく終了した。
■看護大の大館教授が記念講演
記念式典の開催に先立ち、宮崎県立看護大学・大学院の大館真晴教授による記念講演会が催された。日本古代文学を専門とする大館教授は「記紀にみる人づくり国づくり」をテーマに講演。古事記や日本書紀を引用して古代人の心情・考え方を紐解き、現在にも通じる人づくり・国づくりのあり方を分かり易く紹介した。
講演で大館教授は、古事記及び日本書紀が日本人の価値観や心をひとつにするために編纂された書物であることを説明。講演のキーワードに古事記・上巻の序文に登場する「稽古照今(けいこしょうこん)」を掲げ、これが「古について学び考え、それを今に照らして為すべきことを知る」という意味であることを解説した。
講演のテーマに掲げる国づくりに関しては、仁徳天皇が携わったと云われる依網池(ダム式のため池)などの治水事業を紹介。一方、人づくりに関しては、日向神話(海幸山幸の物語)や神武天皇、元正天皇、孝謙天皇らの詔を引用し、夫婦の愛情や父母・先祖に対する孝行が人づくりの基礎になっていたと考察した。
また、神武天皇の建国の理念とされ、宮崎市の平和台公園にある平和の塔に刻まれている「八紘一宇」の意味を「世界の人々が一つの屋根の下の家族のように仲睦まじくあること」と解説。大館教授は「これらの古代の考え方を、現代の国づくりや人づくりに生かすことも一つの手ではないか」などと話した。