▲写真は会場の模様
地質リスク学会(渡邊法美・高知工科大学教授)と全国地質調査業協会連合会(全地連、成田賢会長)は11月30日、「地質リスクマネジメント事例研究発表会」を東京都内で開いた。建設工事などにおける地質リスクマネジメントの実例を踏まえ、リスクの計量化や低減・回避のための課題などについて議論し、会員同士の情報共有の場とすることを目的として始めた研究会も今回で8回目。
学会の活動報告に先立ってあいさつに立った渡邊会長は「一般競争入札の導入によって、それまでにはあった発注者と受注者との相互補完機能が失われた結果、民間技術者だけでなく、発注者側の技術者にも内発的動機付けが失われ、非公正な調達リスクの回避ばかりに主眼が置かれるようになってしまった」と指摘。
その上で、「公共事業は厳しい自然環境の中で暮らす日本の人々の安全・安心の確保にこそ注力すべき」と強調。「公共工事の地質リスクの低減・回避のためには地質技術顧問という職能の確立が必要。さらに、コスト構造改革の一環として地質リスク・エンジ二ア(GRE)を輩出させるべき」との持論を述べた。
この日の発表会は、午前の活動報告に続き、午後からは、清水豊氏(応用地質)が「道路改良事業中に発生した地すべり災害の事例」について発表するなど、合計17編の論文が発表され、各社が直面した課題を基に地質リスクの適切で公正な評価、土木工事などでのアセットマネジメントへの反映の在り方などについて情報を共有した。