▲写真は会合の模様
国土交通省が直轄で整備を進めている大淀川水系の河川改修事業に関して学識者から意見を聞く平成29年度大淀川学識者懇談会(杉尾哲委員長=宮崎大学名誉教授)が、18日に宮崎河川国道事務所で開かれた。会合では、整備計画の内容について担当者から説明があったほか、大淀川直轄河川改修事業の再評価が行われ、委員から事業継続の了承を得た。
大淀川学識者懇談会は、平成18年に策定された「大淀川水系河川整備計画」に関して、社会情勢の変化や地域の意向、事業の進捗及び見通し等を踏まえた計画の点検を継続的に実施し、計画変更の必要性が生じた場合に変更原案に対して意見を聞くために設置したもの。また、九州地方整備局が設置する監視委員会に代わって事業継続の審議も行う。
始めに宮崎河川国道事務所の担当者が、第3回大淀川水系河川整備計画点検に於いて▽整備計画の概要▽社会情勢の変化▽整備計画の進捗・実施状況―について説明。平成17年の洪水を踏まえ、河川整備基本方針を平成28年7月に変更していることや、降雨量増加等による大規模な災害が発生している状況から、近年の気象条件に適応できる整備計画の変更が必要であることを説明した。
現在の整備計画の進捗・実施状況では、宮崎市街部(左岸)地区の堤防質的整備(矢板護岸+根固工)と津屋原沼地区の地震・津波対策が実施中であり、今後の予定としては高岡地区の築堤・耐震対策に取り組む方針であることを説明した。
大淀川直轄河川改修事業の再評価に関しては、平成27年に発生した関東・東北豪雨を踏まえ、新たに「水防災意識社会再構築ビジョン」として、平成32年度を目途とした水防災意識社会を再構築する取り組みが行われている。
この取り組みに関して、越水が発生した場合に堤防決壊までの時間を少しでも引き延ばすための「危機管理型ハード対策」(事業費約26億円)の実施や、福島地区ほか4地区の浸透対策(事業費約23億円)を新たに実施することから、計49億円の事業費の増額が必要となることについて説明が行われた。
説明を聞いた委員は、「堤防整備が未完了である箇所の整備を推進し、整備目標としている規模の洪水に対する治水安全度の向上を図るため、引き続き河川改修事業を継続することとしたい」との対応方針を了承した。
次回の開催予定については、今年度内の開催を予定しており、次回会合時に整備計画の策定及び変更に関する議事を行うこととした。会議の資料や議事の内容については後日、宮崎河川国道事務所のホームページに掲載することとしている。