建設ネット企画画像 四角 四角

建物点検にドローン、高解像度化で時間短縮 建築研究所

 ドローンを活用した建築物の点検調査について建築研究所などが実験住宅を使って実証実験を行ったところ、高所作業点検と比較してドローン撮影による点検は、作業時間を半分程度に抑えることができるものの、撮影後の分析作業が長時間になることが分かった。同研究所では、分析作業時間を短縮するため、撮影カメラの高解像度化が必要だと指摘している。

 今回の実験は、同研究所が進めているドローンを活用した建築物の点検調査・維持管理の省力化の研究の一環。今年8月、建築研究所、芝浦工業大学、日本ツーバイフォー建築協会、西武建設の4者共同で行った。地上6階建ての実験住宅を使用し、高所作業点検、地上撮影点検、ドローン撮影点検の点検精度・コスト・時間・安全性を比較した。

 現場での作業時間は、高所作業点検が準備時間を含めて3時間程度を要する一方、地上撮影点検・ドローン撮影のいずれもその半分の1.5時間で点検作業を終えられることを確認。地上撮影は高層部に撮影範囲が及ばないが、ドローンは建物全面を地上と同じ目線で撮影できるメリットもある。

 コスト比較では、高所作業車がいらず、人工数の少ないドローンに優位性がある。ただ、ドローン撮影は現場作業の時間が短縮される一方、分析作業が10時間を超え、高所作業の2倍以上の時間を要することになる。

 ドローンに搭載されている標準カメラ(1200万画素)と高解像度カメラ(1億画素)との点検精度を比べると、高解像度カメラは約8倍の面積を撮影できるようになるため、安全な距離で不具合箇所を測定できるようになる。同じ映像で詳細点検調査も可能になるという。

 安全性については、ドローンの墜落がヒューマンエラーによるものが多いことから、人材育成の必要性も指摘。今後、同研究所が参加する日本建築ドローン協会でドローン技術を習得した技術者育成に取り組む他、自動点検調査システムの共同開発も進めるとしている。