国土交通省、建設業振興基金、建設業団体などでつくる「建設キャリアアップシステム運営協議会」は11月6日、システムに登録する技能者・事業者の利用料金を決定した。事業者からは、資本金に応じて5年に1度支払う「事業者登録料」、技能者情報の常時閲覧や帳票出力に必要な「管理者ID利用料」、元請けが現場登録時に支払う「現場利用料」を徴収。企業規模別のモデルケースでは、資本金1億円・完工高10億円の事業者で年間3万5400円と、中小の事業者に配慮した料金設定となっている。
建設キャリアアップシステムは、技能者が経験・技能に応じて適正に評価され、建設企業の経営を安定化するインフラとして構築する。2018年4月に登録を開始し、同年10月の運用開始を目指している。
6日に開かれた運営協議会では、初年度に100万人の技能者登録、5年後に全技能者・事業者を登録する目標の堅持を確認。この登録目標を前提とした利用料金を設定した。
利用料金は、技能者・事業者からそれぞれ徴収。技能者登録は有効期間10年とし、郵送・窓口申請は3500円とするが、インターネット申請は2500円と割安にする。
事業者の利用料金は、資本金に応じて全事業者が支払う「事業者登録料」、管理者IDを取得した事業者が利用頻度に応じて支払う「管理者ID利用料」、元請けが技能者の就業履歴回数に応じて支払う「現場利用料」の3種類。
5年ごとに支払う事業者登録料は、資本金を「500万円未満」から「500億円以上」の11階層に分類し、階層別に利用料金を設定。資本金500万円未満で利用料3000円、同1億円以上3億円未未満で6万円、500億円以上で120万円などとした。一人親方の事業者登録料は無料とする。
管理者ID利用料は、1IDごとに2400円が必要で、取得したIDを使い、各現場で▽事業者情報の管理▽現場の作成(現場管理者IDの作成)▽技能者情報の閲覧(常時)▽帳票出力(常時)―ができるようになる。さらに、元請けとして現場を登録する事業者は現場利用料も支払う。技能者が就業履歴を1回蓄積するたびに3円を支払うことにする。
事業者の利用料金の試算(年間)では、資本金500億円・完工高1兆円の大手ゼネコンだと、事業者登録料24万円、管理者ID利用料12万円、現場利用料2100万円で総額2136万円を支払うことになる。
ただ、中小の元請け企業で見ると、資本金1億円・完工高10億円の企業では、事業者登録料1万2000円、管理者ID利用料2400円、現場利用料2万1000円の合計3万5400円。資本金10億円・完工高100億円で見ても、事業者登録料が4万8000円、管理者ID利用料が1万2000円、現場利用料が21万円の合計27万円と、大手に比べ割安な料金を設定している。